臨床 生前に診断しえた右室梗塞の2剖検例
心筋梗塞剖検例において右室梗塞は左室下壁梗塞に合併することが多い.われわれは急性心筋梗塞で入院し,臨床症状,血行動態より生前右室梗塞の合併を疑い,剖検で確認した76歳女と82歳男の2症例を経験した.両者とも入院時,外頸静脈怒張しCVPの上昇を認めた.心電図は下壁梗塞で,第1例は完全房ブロック,第2例はH度房室ブロックを示した.右心カテーテル検査で両者とも肺動脈模入圧,肺動脈圧は正常であるが,右室拡張終期圧,右房平均圧は11~12mmHgと上昇し,右室機能不全を示した.剖検で第1例は心室中隔を含む左室後壁と右室全周に新鮮梗塞を認め,第2例は組織学的に左室後壁の一部および右室後壁から前壁に心筋壊死...
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Published in | 心臓 Vol. 11; no. 11; pp. 1193 - 1198 |
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Main Authors | , , , , , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
公益財団法人 日本心臓財団
1979
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Subjects | |
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ISSN | 0586-4488 2186-3016 |
DOI | 10.11281/shinzo1969.11.11_1193 |
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Summary: | 心筋梗塞剖検例において右室梗塞は左室下壁梗塞に合併することが多い.われわれは急性心筋梗塞で入院し,臨床症状,血行動態より生前右室梗塞の合併を疑い,剖検で確認した76歳女と82歳男の2症例を経験した.両者とも入院時,外頸静脈怒張しCVPの上昇を認めた.心電図は下壁梗塞で,第1例は完全房ブロック,第2例はH度房室ブロックを示した.右心カテーテル検査で両者とも肺動脈模入圧,肺動脈圧は正常であるが,右室拡張終期圧,右房平均圧は11~12mmHgと上昇し,右室機能不全を示した.剖検で第1例は心室中隔を含む左室後壁と右室全周に新鮮梗塞を認め,第2例は組織学的に左室後壁の一部および右室後壁から前壁に心筋壊死を認めた. 右室梗塞例は左室機能に比し相対的に強い右室機能不全の血行動態を示すとされているが,剖検例8例を含む下壁梗塞13例の自験例の検討では,右室側壁におよぶ右室梗塞が右室機能不全を生ずると推定された. |
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ISSN: | 0586-4488 2186-3016 |
DOI: | 10.11281/shinzo1969.11.11_1193 |