症例 肥大型心筋症から拡張型心筋症様病態への移行を確認した1症例

従来より肥大型心筋症と拡張型心筋症は,異なる疾患単位とされている.しかし最近肥大型心筋症の経過中に拡張型心筋症様病態へ移行するsubgroupの存在が注目されている.今回我々は当初肥大型心筋症と診断され,6年間の経過中徐々に拡張型心筋症様病態を呈した39歳男性例を報告する.本症例は当初肥大型心筋症と診断された時点において(1)軽度左室内腔の拡大がみられたこと,(2)左室造影上軽度壁運動の低下を伴っていたこと,(3)病理組織上,心筋細胞の肥大,錯綜配列とともに近接して間質に中等度の線維化がみられたことなどから,拡張型心筋症的であった....

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Published in心臓 Vol. 21; no. 12; pp. 1453 - 1459
Main Authors 舟山, 直樹, 五十嵐, 慶一, 関口, 守衛, 正木, 芳孝, 五十嵐, 丈記
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益財団法人 日本心臓財団 1989
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ISSN0586-4488
2186-3016
DOI10.11281/shinzo1969.21.12_1453

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Summary:従来より肥大型心筋症と拡張型心筋症は,異なる疾患単位とされている.しかし最近肥大型心筋症の経過中に拡張型心筋症様病態へ移行するsubgroupの存在が注目されている.今回我々は当初肥大型心筋症と診断され,6年間の経過中徐々に拡張型心筋症様病態を呈した39歳男性例を報告する.本症例は当初肥大型心筋症と診断された時点において(1)軽度左室内腔の拡大がみられたこと,(2)左室造影上軽度壁運動の低下を伴っていたこと,(3)病理組織上,心筋細胞の肥大,錯綜配列とともに近接して間質に中等度の線維化がみられたことなどから,拡張型心筋症的であった.
ISSN:0586-4488
2186-3016
DOI:10.11281/shinzo1969.21.12_1453