破裂脳動脈瘤における止血形態の病理学的検討 止血血栓はどこにどのように形成されるか
「はじめに」 くも膜下出血では, 脳動脈瘤が破裂した瞬間に頭蓋内圧が上昇する5). その際には脳灌流圧が低下するため, 意識消失を呈する. 一定時間内に止血されると頭蓋内圧が低下し, 脳灌流圧は正常化する5). 一定時間以内に止血されないと, 脳に不可逆的な虚血性障害を起こす. 一方で動脈瘤破裂は必ずしも意識消失を伴うわけではないので, 止血には全脳性の頭蓋内圧上昇が必須であるわけではない. 止血のメカニズムは動脈瘤内やその近傍のみで起こっていることも多いであろう. この一次止血の形態に関して, 著者は以前に研究を行い, その観察結果を報告した4). しかしほとんどの症例が手術顕微鏡下の肉眼的...
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Published in | 脳卒中の外科 Vol. 40; no. 4; pp. 223 - 228 |
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Main Authors | , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本脳卒中の外科学会
31.07.2012
日本脳卒中の外科学会 |
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ISSN | 0914-5508 1880-4683 |
DOI | 10.2335/scs.40.223 |
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Summary: | 「はじめに」 くも膜下出血では, 脳動脈瘤が破裂した瞬間に頭蓋内圧が上昇する5). その際には脳灌流圧が低下するため, 意識消失を呈する. 一定時間内に止血されると頭蓋内圧が低下し, 脳灌流圧は正常化する5). 一定時間以内に止血されないと, 脳に不可逆的な虚血性障害を起こす. 一方で動脈瘤破裂は必ずしも意識消失を伴うわけではないので, 止血には全脳性の頭蓋内圧上昇が必須であるわけではない. 止血のメカニズムは動脈瘤内やその近傍のみで起こっていることも多いであろう. この一次止血の形態に関して, 著者は以前に研究を行い, その観察結果を報告した4). しかしほとんどの症例が手術顕微鏡下の肉眼的観察に基づくものであり, 病理学的に検討を追加できた症例は一部に限られていた. 今回研究を継続し, 動脈瘤の止血形態を病理形態に重きをおいて検討した. 「対象と方法」 2007-2011年に当院で開頭手術により加療した動脈瘤性くも膜下出血は223例であった. |
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ISSN: | 0914-5508 1880-4683 |
DOI: | 10.2335/scs.40.223 |