大学生の金融リテラシーと家計簿記帳による金融経済教育

本研究では、大学生256人に実施した「金融や経済に関するアンケート」、家計簿、レポートの自由記述から、金融リテラシー、金融経済情報に関する考え方、家計行動を分析した。この結果、講義前後の金融経済に関する理解度では、講義によってほとんどの項目で理解度が高くなったことから、金融経済教育の効果が現れた。また、男女差では既存研究で見られたように、男子の方が金融リテラシーが高いとは一概には言えず、内容によっては女子の方が理解度が高い項目もあることが分かった。また、関心については、講義で扱うと、その項目について関心度が高まったことから、金融経済教育を積極的に実施することに意味があることが明らかとなった。家...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in中部消費者教育論集 Vol. 13; pp. 2 - 14
Main Authors 大藪 千穂, 奥田 真之
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本消費者教育学会中部支部 2017
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN1880-4209
2759-6281
DOI10.50844/jjacechubu.13.0_2

Cover

More Information
Summary:本研究では、大学生256人に実施した「金融や経済に関するアンケート」、家計簿、レポートの自由記述から、金融リテラシー、金融経済情報に関する考え方、家計行動を分析した。この結果、講義前後の金融経済に関する理解度では、講義によってほとんどの項目で理解度が高くなったことから、金融経済教育の効果が現れた。また、男女差では既存研究で見られたように、男子の方が金融リテラシーが高いとは一概には言えず、内容によっては女子の方が理解度が高い項目もあることが分かった。また、関心については、講義で扱うと、その項目について関心度が高まったことから、金融経済教育を積極的に実施することに意味があることが明らかとなった。家計簿記帳では、支出は収入の影響を受けるが、とりわけ高収入層において顕著であった。また、男女別と居住別では、収入合計(所得、貯蓄引出)、支出合計、食費、保健衛生、教育費で下宿生の方が高く、食費、交通通信費は男子の方が高く、黒字は女子の方が高くなった。さらに家計簿記帳によって、8割の学生の生活意識に変化が見られた。今後、金融経済教育を実施するには、一般的な金融経済に関する情報と、家計に関する個別的な情報の両者を提供することが重要となる。また、生活の具体的方法に関する情報を提供することも、家計運営を身近なものとしてイメージしやすくなるので必要になるであろう。
ISSN:1880-4209
2759-6281
DOI:10.50844/jjacechubu.13.0_2