症例 左心耳内血栓により2枝同時閉塞をきたした急性心筋梗塞の1例

症例は54歳男性.前胸部痛を訴え,心電図上急性心筋梗塞を疑われ紹介された.緊急冠動脈造影上左前下行枝および回旋枝の閉塞を認めた.左前下行枝は冠動脈形成術では容易に再開通せず,血栓性閉塞が疑われたためinfusionカテーテルを冠動脈内に挿入し,ウロキナーゼ血栓溶解療法を行った.回旋枝も同様に血栓溶解で再開通した.左前下行枝はより遠位部に閉塞が残存したため,冠動脈形成術を用いて25%の残存狭窄にまで開大した.経食道心エコー図で左心耳内血栓を認め,検査施行日夕刻に脳塞栓を発症した.2枝同時閉塞急性心筋梗塞はまれであり,原因が左心耳内血栓による塞栓と推定されたため報告する....

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Published in心臓 Vol. 32; no. 12; pp. 955 - 960
Main Authors 田中, 秀和, 河田, 正仁, 竹中, かおり, 岡田, 敏男, 小林, 征一, 吉田, 裕昭, 清水, 雅俊, 水谷, 哲郎
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益財団法人 日本心臓財団 2000
Subjects
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ISSN0586-4488
2186-3016
DOI10.11281/shinzo1969.32.12_955

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Summary:症例は54歳男性.前胸部痛を訴え,心電図上急性心筋梗塞を疑われ紹介された.緊急冠動脈造影上左前下行枝および回旋枝の閉塞を認めた.左前下行枝は冠動脈形成術では容易に再開通せず,血栓性閉塞が疑われたためinfusionカテーテルを冠動脈内に挿入し,ウロキナーゼ血栓溶解療法を行った.回旋枝も同様に血栓溶解で再開通した.左前下行枝はより遠位部に閉塞が残存したため,冠動脈形成術を用いて25%の残存狭窄にまで開大した.経食道心エコー図で左心耳内血栓を認め,検査施行日夕刻に脳塞栓を発症した.2枝同時閉塞急性心筋梗塞はまれであり,原因が左心耳内血栓による塞栓と推定されたため報告する.
ISSN:0586-4488
2186-3016
DOI:10.11281/shinzo1969.32.12_955