症例 AHブロックによる発作性高度房室ブロックを呈した1症例

失神発作で発症したAHブロックによる発作性高度房室ブロック(PAVB)の1例を経験した.症例は57歳女性.25年前より2度の失神発作と頻回のめまいがあり近医受診.ホルター心電図にて一過性の高度房室ブロックを頻回に認め当科紹介入院となった.安静時は正常洞調律で原因となる心疾患は認めなかった.ブロックはWenckebach型から最長R-R間隔7.6秒に及ぶPAVBが認められた.電気生理学的検査上,洞結節,His束以下に異常はなく房室結節に軽度伝導障害およびdual pathwayを認めた.バルサルバ手技,頸動脈洞マッサージによる迷走神経刺激,プロプラノロール,メトキサミン,プロプラノロールとアトロ...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in心臓 Vol. 24; no. 9; pp. 1085 - 1090
Main Authors 吉田, 明弘, 横山, 光宏, 岡本, 名央子, 井上, 智夫, 尾家, 伸之, 林, 義彦, 土井, 智文, 竹内, 素志, 秋田, 穂束, 大西, 祥男
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益財団法人 日本心臓財団 1992
Online AccessGet full text
ISSN0586-4488
2186-3016
DOI10.11281/shinzo1969.24.9_1085

Cover

More Information
Summary:失神発作で発症したAHブロックによる発作性高度房室ブロック(PAVB)の1例を経験した.症例は57歳女性.25年前より2度の失神発作と頻回のめまいがあり近医受診.ホルター心電図にて一過性の高度房室ブロックを頻回に認め当科紹介入院となった.安静時は正常洞調律で原因となる心疾患は認めなかった.ブロックはWenckebach型から最長R-R間隔7.6秒に及ぶPAVBが認められた.電気生理学的検査上,洞結節,His束以下に異常はなく房室結節に軽度伝導障害およびdual pathwayを認めた.バルサルバ手技,頸動脈洞マッサージによる迷走神経刺激,プロプラノロール,メトキサミン,プロプラノロールとアトロビン,プロカインアミド投与等によって房室ブロックは誘発されなかった.ブロックの原因は明らかではなかったが,心内に電極カテーテルを留置し長時間His束心電図モニターにて,AHブロックによるPAVBの自然発作が捕らえられた.房室ブロックはテオフィリンでは抑制されず,硫酸アトロピンにより抑制されたが,症状が重篤であったためVVIペースメーカーを植え込み,以後自覚症状は消失した.PAVBはAHブロックによるものはまれであり器質的障害も明らかな誘因もに高度の心停止をきたすPAVBはほとんど報告がなく,迷走神経の関与が原因として考えられたまれな1例として報告した.
ISSN:0586-4488
2186-3016
DOI:10.11281/shinzo1969.24.9_1085