ダントロレンによるリアノジン受容体を分子標的とした新しい心不全・不整脈治療

悪性高熱症,カテコラミン誘発性多形性心室頻拍症(Catecholaminergic polymorphic ventricular tachycardia:CPVT)や心不全においては,リアノジン受容体(骨格筋型:RyR1,心筋型:RyR2)内のドメイン連関障害が,リアノジン受容体からのCa2+漏出の原因と考えられている.悪性高熱症の治療薬であるダントロレンは,RyR1に結合し,RyR1内のドメイン連関障害を是正することによってRyR1からのCa2+漏出を抑制する.同様に,イヌ心不全モデルやCPVT型knock-inマウスにおいてもダントンは,RyR2に結合し,RyR2からのCa2+漏出を抑制...

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Published in山口医学 Vol. 62; no. 1; pp. 15 - 19
Main Author 小林, 茂樹
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 山口大学医学会 01.02.2013
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ISSN0513-1731
1880-4462
DOI10.2342/ymj.62.15

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Summary:悪性高熱症,カテコラミン誘発性多形性心室頻拍症(Catecholaminergic polymorphic ventricular tachycardia:CPVT)や心不全においては,リアノジン受容体(骨格筋型:RyR1,心筋型:RyR2)内のドメイン連関障害が,リアノジン受容体からのCa2+漏出の原因と考えられている.悪性高熱症の治療薬であるダントロレンは,RyR1に結合し,RyR1内のドメイン連関障害を是正することによってRyR1からのCa2+漏出を抑制する.同様に,イヌ心不全モデルやCPVT型knock-inマウスにおいてもダントンは,RyR2に結合し,RyR2からのCa2+漏出を抑制し,心不全の進展やCPVTを抑制する.このように,ダントロレンはRyR2を分子標的とした新しい心不全・不整脈治療薬となることが期待される.
ISSN:0513-1731
1880-4462
DOI:10.2342/ymj.62.15