突発性難聴治療後患者に対するアンケート調査 HHIA (Hearing Handicap Inventory for Adults) による両側性感音難聴症例との比較

発症後半年以上経過した陳旧性突発性難聴症例に対し, 日本語版HHIA1) (Hearing Handicap Inventory for Adults, 以下HHIA) と, 治療後の状態を尋ねるアンケートを施行し, 聴力固定後の突発性難聴患者のQOLについて検討した. 両側性感音難聴症例との比較では, 突発性難聴症例のHHIA点数は合計点, 社会面, 感情面とも有意に低かった (p<0.01). 聴力レベルとの関係, 罹患期間との関係においても, 両側性感音難聴症例と突発性難聴症例は, 異なる傾向を示した. 補聴器の使用は3例のみであったが適応外の1例も含まれていた. HHIAの点数が...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in日本耳鼻咽喉科学会会報 Vol. 108; no. 12; pp. 1158 - 1164
Main Authors 弓削, 勇, 山下, 大介, 小川, 郁, 斎藤, 秀行, 佐藤, 美奈子, 増田, 正次, 岡本, 康秀, 栗田, 昭宏
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本耳鼻咽喉科学会 20.12.2005
日本耳鼻咽喉科学会
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN0030-6622
1883-0854
DOI10.3950/jibiinkoka.108.1158

Cover

More Information
Summary:発症後半年以上経過した陳旧性突発性難聴症例に対し, 日本語版HHIA1) (Hearing Handicap Inventory for Adults, 以下HHIA) と, 治療後の状態を尋ねるアンケートを施行し, 聴力固定後の突発性難聴患者のQOLについて検討した. 両側性感音難聴症例との比較では, 突発性難聴症例のHHIA点数は合計点, 社会面, 感情面とも有意に低かった (p<0.01). 聴力レベルとの関係, 罹患期間との関係においても, 両側性感音難聴症例と突発性難聴症例は, 異なる傾向を示した. 補聴器の使用は3例のみであったが適応外の1例も含まれていた. HHIAの点数が0点の症例は, 1例が難聴, 約1/3が耳鳴で困ると答えたのみであったが, 0点以外の症例は, 1/2以上の症例が難聴で困ると答え, 44点以上の症例は全例, 難聴と耳鳴を訴えていた. 約半数の症例が聴力固定後も難聴, 耳鳴に悩まされており. めまい, 耳閉塞感に比して高率であった. 中には, 症状は残っているが困ってはいない, とコメントをつけた症例も見られた. 治療後の自覚的聴力変化について悪くなったと答えた症例 (13%), 当科の治療後に他院を受診したことがある症例 (16%) は, HHIAが有意に高かった. これらの結果から, 陳旧性突発性難聴におけるQOL改善のためには, 治療後のインフォームドコンセント, 定期的聴力検査など, ニーズに応じたフォローアップが重要であると考えられた.
ISSN:0030-6622
1883-0854
DOI:10.3950/jibiinkoka.108.1158