同種造血幹細胞移植におけるタクロリムス水和物徐放性カプセルの使用経験

同種造血幹細胞移植におけるグラセプター® の投与に関して,これまでにまとまった報告はない。当科では現在までに13症例を対象にグラセプター投与を行っており,その安全性と治療効果を後方視的に検討した。投与は外来通院にてプログラフ® 内服中の症例を選択し,移植後62~5421日(中央値371日)でグラセプター® への剤型変更とした。結果としては,剤型変更後,タクロリムス投与に起因する新たな合併症は認めず,変更前後での血中トラフ値・投与量比に有意差を認めなかった。血中濃度は同程度に維持されたが,腎機能は有意に改善し,尿酸値は低下した。剤型変更後のGVHD新規発症は1例であり,これも含めて合計12例で改...

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Published in日本造血細胞移植学会雑誌 Vol. 1; no. 2; pp. 59 - 65
Main Authors 一戸, 辰夫, 近藤, 忠一, 門脇, 則光, 新井, 康之, 小林, 正行, 山下, 浩平, 高折, 晃史, 石川, 隆之
Format Journal Article
LanguageEnglish
Published 一般社団法人 日本造血細胞移植学会 2012
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ISSN2186-5612
DOI10.7889/hct.1.59

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Summary:同種造血幹細胞移植におけるグラセプター® の投与に関して,これまでにまとまった報告はない。当科では現在までに13症例を対象にグラセプター投与を行っており,その安全性と治療効果を後方視的に検討した。投与は外来通院にてプログラフ® 内服中の症例を選択し,移植後62~5421日(中央値371日)でグラセプター® への剤型変更とした。結果としては,剤型変更後,タクロリムス投与に起因する新たな合併症は認めず,変更前後での血中トラフ値・投与量比に有意差を認めなかった。血中濃度は同程度に維持されたが,腎機能は有意に改善し,尿酸値は低下した。剤型変更後のGVHD新規発症は1例であり,これも含めて合計12例で改善を認めた。新たな原疾患再発は1例であった。今回の検討で,グラセプター® は同種移植後も安全に使用でき,GVHD予防・治療に有効であること,また腎機能低下症例においては剤型変更によってその改善が期待されることが分かった。
ISSN:2186-5612
DOI:10.7889/hct.1.59