臨床 心タンポナーデに対する持続ドレナージ前後の循環動態の検討
心タンポナーデを呈した癌性心外膜炎13例に持続ドレナージを施行し,その排液前後の循環動態につき検討した. 排液前の循環動態では, 右房圧( RAP ) は18.7±8.5mmHg,右室拡張末期圧(RVEDP)は18.6±5.3mmHg,肺動脈楔入圧(PCWP)は20.2±7.9mmHgと著明に上昇し,それらの値は心嚢内圧(PCP)18.1±6.7mmHgとよく一致した.CIは2.6±0.7l/min/m2,SIは22.9±6.0ml/beat/m2と著明に低下しており,それらはPCPと有意の負の相関関係を認めた. 心嚢液排液によりPCPは著明に低下し,それに伴いRAP,PCWPも低下し,CI,...
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Published in | 心臓 Vol. 15; no. 4; pp. 432 - 437 |
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Main Authors | , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
公益財団法人 日本心臓財団
1983
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Subjects | |
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ISSN | 0586-4488 2186-3016 |
DOI | 10.11281/shinzo1969.15.4_432 |
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Summary: | 心タンポナーデを呈した癌性心外膜炎13例に持続ドレナージを施行し,その排液前後の循環動態につき検討した. 排液前の循環動態では, 右房圧( RAP ) は18.7±8.5mmHg,右室拡張末期圧(RVEDP)は18.6±5.3mmHg,肺動脈楔入圧(PCWP)は20.2±7.9mmHgと著明に上昇し,それらの値は心嚢内圧(PCP)18.1±6.7mmHgとよく一致した.CIは2.6±0.7l/min/m2,SIは22.9±6.0ml/beat/m2と著明に低下しており,それらはPCPと有意の負の相関関係を認めた. 心嚢液排液によりPCPは著明に低下し,それに伴いRAP,PCWPも低下し,CI,SIは有意に上昇した.特にSIは大部分の症例(13例中10例,77%)において排液初期に著明に改善し,その後の改善は軽度なパターンをとったが,排液持続中にSIが再度低下する症例を3例(23%)認めた.血行動態諸標の観点から,その原因としてhypovelemiaと左心不全の関与する可能性が示唆された. 従って, 心嚢液排液時にはSwan-Ganz Ca-theterによる循環動態の監視が必須と思われた. |
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ISSN: | 0586-4488 2186-3016 |
DOI: | 10.11281/shinzo1969.15.4_432 |