第39回河口湖心臓討論会 血管新生因子アンジオポエチン様増殖因子(AGF/Angptl6)

インスリン抵抗性,糖代謝異常,脂質代謝異常,高血圧などが階層的,相互的に連関しながら重症化していく「メタボリックシンドローム」という病態において「肥満」がその病態の上流に位置することより,この「肥満」という病態を包括的に治療することの重要性が考えられている. 「肥満」の本体である肥大した脂肪細胞を縮小するには血管新生抑制が, また, 末梢組織のエネルギー消費充進, 末梢組織に蓄積された脂質の放出には血管新生促進が望まれると考えられているが, 「肥満」と血管新生の連関はいまだ不明な点が多い. 最近, AGF/Angptl6 遺伝子改変マウスの解析を通して, AGF/Angptl6 が血管新生作用...

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Published in心臓 Vol. 38; no. 2; pp. 165 - 168
Main Author 尾池, 雄一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益財団法人 日本心臓財団 2006
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ISSN0586-4488
2186-3016
DOI10.11281/shinzo1969.38.2_165

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Summary:インスリン抵抗性,糖代謝異常,脂質代謝異常,高血圧などが階層的,相互的に連関しながら重症化していく「メタボリックシンドローム」という病態において「肥満」がその病態の上流に位置することより,この「肥満」という病態を包括的に治療することの重要性が考えられている. 「肥満」の本体である肥大した脂肪細胞を縮小するには血管新生抑制が, また, 末梢組織のエネルギー消費充進, 末梢組織に蓄積された脂質の放出には血管新生促進が望まれると考えられているが, 「肥満」と血管新生の連関はいまだ不明な点が多い. 最近, AGF/Angptl6 遺伝子改変マウスの解析を通して, AGF/Angptl6 が血管新生作用のみならず, 骨格筋などに直接作用して末梢組織のエネルギー消費亢進に機能し肥満形成に抑制的に機能していることを見いだし,AGF/ やAGF/Angptl6の機能を充進する薬剤が, 抗肥満薬, 抗糖尿病薬となる可能性を見いだした. AGF/Angptl6 がエネルギー代謝, 糖代謝調節作用に加え, Angptl3, Angptl4が脂質代謝において重要な役割を果たしていることより, 血管と代謝調節の連関を考えるうえでAngptlファミリー分子の役割を明らかにしていくことは非常に興味深いと考える.
ISSN:0586-4488
2186-3016
DOI:10.11281/shinzo1969.38.2_165