症例 Torsades de pointesによる失神発作を認めた右室異形成症と考えられる1例

症例は,50歳女性.失神のため近医に緊急入院し,心電図で固有房室接合部調律,QT時間の延長と主に左室起源と考えられる単発性心室性期外収縮が認められた.入院中にtorsades de pointes(TdP)が認められ,このとき一過性の意識消失を伴っていたため恒久ペースメーカー植え込み術を施行された.その後,右心不全による全身倦怠感が出現し,当科に入院した.心電図はすべてペースメーカー調律でP波を認めなかった.心エコー図,右室造影で右房・右室の拡大,び漫性右室壁運動低下と右室心尖部の無収縮を認め,右室異形成症と考えられた.また,左室造影では心尖部の無収縮を認めた.右室心筋生検では心筋細胞の脱落,...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in心臓 Vol. 28; no. 3; pp. 222 - 227
Main Authors 加藤, 雅也, 中山, 賢証, 山形, 東吾, 梶山, 梧朗, 森島, 信行, 松浦, 秀夫, 唐川, 眞二, 平岡, 明人, 道重, 博行, 刈屋, 憲次, 平賀, 正文, 塩出, 宣雄, 村岡, 裕司
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益財団法人 日本心臓財団 1996
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN0586-4488
2186-3016
DOI10.11281/shinzo1969.28.3_222

Cover

More Information
Summary:症例は,50歳女性.失神のため近医に緊急入院し,心電図で固有房室接合部調律,QT時間の延長と主に左室起源と考えられる単発性心室性期外収縮が認められた.入院中にtorsades de pointes(TdP)が認められ,このとき一過性の意識消失を伴っていたため恒久ペースメーカー植え込み術を施行された.その後,右心不全による全身倦怠感が出現し,当科に入院した.心電図はすべてペースメーカー調律でP波を認めなかった.心エコー図,右室造影で右房・右室の拡大,び漫性右室壁運動低下と右室心尖部の無収縮を認め,右室異形成症と考えられた.また,左室造影では心尖部の無収縮を認めた.右室心筋生検では心筋細胞の脱落,脂肪変性や線維化は認めなかったが,軽度の心筋細胞の肥大を認めた. 右室異形成症は,右室起源の無症候性心室性不整脈により,しばしば突然死を招く疾患であるが,本症例は右室起源の心室頻拍症を認めず,徐脈とQT延長から発生したTdPにより失神発作をきたしたまれな症例と考え報告する.
ISSN:0586-4488
2186-3016
DOI:10.11281/shinzo1969.28.3_222