臨床 コレステロール値正常患者での冠動脈病変予測因子としてRLP-Cが有用である
冠動脈造影を施行した208例で,LDL-コレステロール(LDL-C),HDL-コレステロール(HDL-C),トリグリセライド,レムナント様リポ蛋白コレステロール(RLP-C),リポ蛋白-(a),尿酸,血糖,t-PA,PAI-1,antithrombin III, proteinCを測定した.総コレステロール値が220mg/dl以上の高コレステロール血症群(高コ血症群:57例)とそれ未満の正コレステロール血症群(正コ血症群:151例)に分け,有意狭窄の有無に対する各因子の予測値としての意義が異なるかを検討した.HDL-Cは高コ血症群(p=0.0025),正コ血症群(p=0.0003)ともに,狭窄...
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Published in | 心臓 Vol. 31; no. 4; pp. 231 - 237 |
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Main Authors | , , , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
公益財団法人 日本心臓財団
1999
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Subjects | |
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ISSN | 0586-4488 2186-3016 |
DOI | 10.11281/shinzo1969.31.4_231 |
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Summary: | 冠動脈造影を施行した208例で,LDL-コレステロール(LDL-C),HDL-コレステロール(HDL-C),トリグリセライド,レムナント様リポ蛋白コレステロール(RLP-C),リポ蛋白-(a),尿酸,血糖,t-PA,PAI-1,antithrombin III, proteinCを測定した.総コレステロール値が220mg/dl以上の高コレステロール血症群(高コ血症群:57例)とそれ未満の正コレステロール血症群(正コ血症群:151例)に分け,有意狭窄の有無に対する各因子の予測値としての意義が異なるかを検討した.HDL-Cは高コ血症群(p=0.0025),正コ血症群(p=0.0003)ともに,狭窄群において低値であった.RLP-Cと尿酸が,それぞれ高コ血症群では有意狭窄の有無に関係しなかったが,正コ血症群では有意に狭窄群において高値であった(p=0.0006とp=0.0060).しかし,尿酸は多変量解析では有意な因子でなくなった.多変量解析にて全患者ではLDL-Cが最も強い寄与因子であったが,高コ血症患者だけではHDL-Cが強い寄与因子であり,正コ血症患者ではRLP-CとHDLCが同等の強い寄与因子であった.コレステロール正常例での冠動脈疾患の発現には,レムナントが寄与する割合が大きい可能性が考えられる. |
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ISSN: | 0586-4488 2186-3016 |
DOI: | 10.11281/shinzo1969.31.4_231 |