症例 心室頻拍を伴った筋緊張性ジストロフィーの1例

筋緊張性ジストロフィー症例で,原疾患に関連すると思われる心室性頻拍発作をきたし頻拍起源部位に異常収縮を認めた症例を経験した.頻拍発作時の心拍数は250/分で右軸偏位,右脚ブロック型を示し,頻拍停止後の心電図にて1度房室ブロック,III,aVF誘導に異常Q波および,V1-V4誘導にてR波の減高がみられた.左室造影で前側壁領域に低収縮領域を認め,安静時心筋シンチでも同部位の取り込みが低下していたが,冠動脈造影では有意狭窄はなく冠攣縮も誘発されなかったため,筋緊張性ジストロフィーによる収縮異常と考えられた.電気生理学的検査では左右心室刺激にて頻拍は誘発されなかったが,左室造影で異常の見られた部位での...

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Published in心臓 Vol. 26; no. 3; pp. 275 - 280
Main Authors 比佐, 新一, 木戸, カヤノ, 渡辺, 直彦, 坂部, 淳, 渡辺, 達也, 丸山, 幸夫, 広坂, 朗
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益財団法人 日本心臓財団 1994
Subjects
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ISSN0586-4488
2186-3016
DOI10.11281/shinzo1969.26.3_275

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Summary:筋緊張性ジストロフィー症例で,原疾患に関連すると思われる心室性頻拍発作をきたし頻拍起源部位に異常収縮を認めた症例を経験した.頻拍発作時の心拍数は250/分で右軸偏位,右脚ブロック型を示し,頻拍停止後の心電図にて1度房室ブロック,III,aVF誘導に異常Q波および,V1-V4誘導にてR波の減高がみられた.左室造影で前側壁領域に低収縮領域を認め,安静時心筋シンチでも同部位の取り込みが低下していたが,冠動脈造影では有意狭窄はなく冠攣縮も誘発されなかったため,筋緊張性ジストロフィーによる収縮異常と考えられた.電気生理学的検査では左右心室刺激にて頻拍は誘発されなかったが,左室造影で異常の見られた部位でのペースマップにて心室頻拍と同様の波形が得られ,同部位起源の心室頻拍であることが示唆された.本症例は心室頻拍の起源と思われる部位に局所的な壁運動の異常が認められており,その機序として障害心筋を介するリエントリー,異常自動能やtriggered activity等が関与している可能性があると思われる.
ISSN:0586-4488
2186-3016
DOI:10.11281/shinzo1969.26.3_275