症例 アセチルコリン負荷で誘発されず,エルゴノビン負荷で冠攣縮が誘発された1例

症例は53歳男性.早朝の胸部絞扼感の発作が頻発,近医受診し冠攣縮性狭心症を疑われ,硝酸薬を投与されたが約1カ月後ショック状態で近医受診.心電図上心房細動,V1~6でST低下と心室性期外収縮を認めた.冠動脈造影では有意狭窄を認めず,アセチルコリン(Ach)負荷で陰性だったが,エルゴノビン(EM)負荷で左回旋枝に冠攣縮が誘発され,胸痛および心電図上II,III,aVFのST上昇,V1~5,のST低下を認めた.Ach,EMいずれも冠攣縮の誘発率は90%以上といわれ,通常いずれか一方が使用されるが,二薬剤の攣縮誘発機序は異なり,本例のごとくEMのみで誘発される症例もあり,二薬剤の攣縮誘発の診断精度に関...

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Published in心臓 Vol. 26; no. 9; pp. 962 - 967
Main Authors 山本, 一也, 島田, 弘英, 庄司, 進一, 治田, 精一, 柳澤, 信夫, 原田, 健志, 長田, 和裕, 唐沢, 光治
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益財団法人 日本心臓財団 1994
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ISSN0586-4488
2186-3016
DOI10.11281/shinzo1969.26.9_962

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Summary:症例は53歳男性.早朝の胸部絞扼感の発作が頻発,近医受診し冠攣縮性狭心症を疑われ,硝酸薬を投与されたが約1カ月後ショック状態で近医受診.心電図上心房細動,V1~6でST低下と心室性期外収縮を認めた.冠動脈造影では有意狭窄を認めず,アセチルコリン(Ach)負荷で陰性だったが,エルゴノビン(EM)負荷で左回旋枝に冠攣縮が誘発され,胸痛および心電図上II,III,aVFのST上昇,V1~5,のST低下を認めた.Ach,EMいずれも冠攣縮の誘発率は90%以上といわれ,通常いずれか一方が使用されるが,二薬剤の攣縮誘発機序は異なり,本例のごとくEMのみで誘発される症例もあり,二薬剤の攣縮誘発の診断精度に関して今後検討を要する症例を経験したので報告する.
ISSN:0586-4488
2186-3016
DOI:10.11281/shinzo1969.26.9_962