症例 急性後下壁心筋梗塞発症後に異なった誘導のST変化を独立してきたした1例

症例は78歳,男性.不安定狭心症にて入院し,その夜心筋梗塞を発症した.心電図上II,III,aVF,V6でST上昇認め,次にI,aVL,V3~V6で一過性のST上昇を認め,緊急冠動脈造影にて左前下行枝#7に99%狭窄,回旋枝#11に造影遅延を伴う99%狭窄を認め,左回旋枝に引き続き左前下行枝も一時的に閉塞したと考えられた.本症例は重症で,PTCR,PTCA,IABP,人工呼吸,血液透析により救命することができた.梗塞後1カ月経過した時点でモニター上STの著明な上昇があり,12誘導心電図でI,aVL,V2~V6の一過性のST上昇を認めた.ホルター上,CC5とaVFで独立してST低下がみられた.冠...

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Published in心臓 Vol. 27; no. 7; pp. 630 - 634
Main Authors 外村, 洋一, 三角, 郁夫, 中山, 雅文, 本田, 佳生, 土井, 英樹, 木村, 義博, 大串, 正道
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益財団法人 日本心臓財団 1995
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ISSN0586-4488
2186-3016
DOI10.11281/shinzo1969.27.7_630

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Summary:症例は78歳,男性.不安定狭心症にて入院し,その夜心筋梗塞を発症した.心電図上II,III,aVF,V6でST上昇認め,次にI,aVL,V3~V6で一過性のST上昇を認め,緊急冠動脈造影にて左前下行枝#7に99%狭窄,回旋枝#11に造影遅延を伴う99%狭窄を認め,左回旋枝に引き続き左前下行枝も一時的に閉塞したと考えられた.本症例は重症で,PTCR,PTCA,IABP,人工呼吸,血液透析により救命することができた.梗塞後1カ月経過した時点でモニター上STの著明な上昇があり,12誘導心電図でI,aVL,V2~V6の一過性のST上昇を認めた.ホルター上,CC5とaVFで独立してST低下がみられた.冠動脈が2枝とも厳しい狭窄があり,心筋酸素消費量増加のみでなく,冠血流量の変動があり,mixed anginaの状態であるためにこのような多彩な心電図変化をきたしたものと考えられた.
ISSN:0586-4488
2186-3016
DOI:10.11281/shinzo1969.27.7_630