症例 一卵性双生児の一方のみに発症したBrugada症候群の1例
症例は一卵性双生児の弟である35歳男性.2001年5月15日に停車中の車内にて,約30秒の全身痙攣を伴った意識消失発作を認めた.その後,同様の症状を繰り返し他院を受診した.脳波や頭部MRIで異常を認めず,12誘導心電図においてBrugada症候群が疑われ当科紹介入院となった.胸部X線写真に異常なく,また心臓超音波検査および両心室造影検査においても異常は認めなかった.冠動脈造影も正常でacetylcholineを投与したが,冠動脈攣縮は誘発されなかった.Pilsicainideの静脈投与により心電図V1およびV2でのST上昇が増強され,心臓電気生理学的検査において3連発の早期刺激で心室細動が誘発...
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Published in | 心臓 Vol. 35; no. 4; pp. 275 - 279 |
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Main Authors | , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
公益財団法人 日本心臓財団
2003
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Subjects | |
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ISSN | 0586-4488 2186-3016 |
DOI | 10.11281/shinzo1969.35.4_275 |
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Summary: | 症例は一卵性双生児の弟である35歳男性.2001年5月15日に停車中の車内にて,約30秒の全身痙攣を伴った意識消失発作を認めた.その後,同様の症状を繰り返し他院を受診した.脳波や頭部MRIで異常を認めず,12誘導心電図においてBrugada症候群が疑われ当科紹介入院となった.胸部X線写真に異常なく,また心臓超音波検査および両心室造影検査においても異常は認めなかった.冠動脈造影も正常でacetylcholineを投与したが,冠動脈攣縮は誘発されなかった.Pilsicainideの静脈投与により心電図V1およびV2でのST上昇が増強され,心臓電気生理学的検査において3連発の早期刺激で心室細動が誘発された.以上よりBrugada症候群と診断し,5月26日に植え込み型除細動器を植え込んだ.一卵性双生児の兄に失神歴はなく,心電図においてもST上昇は認めなかった.弟同様にpilsicainideを静脈投与したが,負荷前後において明らかなST変化は認めなかった.遺伝子異常が原因と報告される本疾患であるが,一卵性双生児の一方のみに発症した興味ある症例と思われ報告する. |
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ISSN: | 0586-4488 2186-3016 |
DOI: | 10.11281/shinzo1969.35.4_275 |