症例 再狭窄を繰り返す難治性虚血性心疾患にLDL-Aが有効であった家族性高コレステロール血症の1例

症例は57歳女性.主訴は胸痛.1993年12月22日胸痛を自覚し,12月27日近医を受診.心電図上V1~5にてST上昇を認め,前壁中隔心筋梗塞の診断で,当院転送,入院となる.冠動脈造影(CAG)上,前下行枝(LAD)に完全閉塞(seg7:100%),右冠動脈(RCA)seg2,3にそれぞれAHA分類90%の狭窄を認めた.入院時の血清総コレステロール値は322mg/dl,中性脂肪83mg/dlであり,家族性高コレステロール血症(FH)(ヘテロ型)であることが判明した.入院後LADに対して経皮的冠動脈形成術(PTCA)を施行し,高脂血症に対して,pravastatin,bezafibrateの投与...

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Published in心臓 Vol. 32; no. 9; pp. 707 - 713
Main Authors 内山, 隆史, 小林, 裕, 豊田, 徹, 島田, 靖, 笠井, 龍太郎, 吉崎, 彰, 並木, 紀世, 宮城, 学, 小松, 尚子, 喜納, 峰子, 進藤, 直久, 大橋, 裕樹, 永井, 義一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益財団法人 日本心臓財団 2000
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ISSN0586-4488
2186-3016
DOI10.11281/shinzo1969.32.9_707

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Summary:症例は57歳女性.主訴は胸痛.1993年12月22日胸痛を自覚し,12月27日近医を受診.心電図上V1~5にてST上昇を認め,前壁中隔心筋梗塞の診断で,当院転送,入院となる.冠動脈造影(CAG)上,前下行枝(LAD)に完全閉塞(seg7:100%),右冠動脈(RCA)seg2,3にそれぞれAHA分類90%の狭窄を認めた.入院時の血清総コレステロール値は322mg/dl,中性脂肪83mg/dlであり,家族性高コレステロール血症(FH)(ヘテロ型)であることが判明した.入院後LADに対して経皮的冠動脈形成術(PTCA)を施行し,高脂血症に対して,pravastatin,bezafibrateの投与を開始した.その後の経過観察中,冠動脈病変の再狭窄,および進行を認め,数回のPTCAを必要とし,高コレステロール血症も薬剤抵抗性であったため,1995年2月よりLDL-apheresis(LDL-A)を導入した.導入後は血清総コレステロール値はLDL-A施行前値で200mg/dl前後,施行後は100mg/dl前後となり,この間のT-C値は概ね150mg/dl前後で推移しているものと思われた.心事故の発生は認められず,導入後半年,および2年後に施行したCAGでは,定量的冠動脈造影(QCA)にて冠動脈病変の改善を認めた. PTCA後の再狭窄を繰り返す難治性虚血性心疾患を認めたFH症例に対して内科的治療に加え,LDL-Aを併用し,CAGによる長期的な経過を観察し得,再狭窄および心事故の抑制を認めたのでここに報告する.
ISSN:0586-4488
2186-3016
DOI:10.11281/shinzo1969.32.9_707