症例 不完全型Behcet 病に合併した大動脈弁閉鎖不全および左Valsalva洞の非破裂性動脈瘤(大動脈弁輪下の左室心筋内嚢状瘤)の1症例

症例は55歳男性で,不完全型Behcet瘤に罹患していた.昭和53年5月頃より左心不全症状を呈し大動脈弁閉鎖不全症と診断され,その時すでに手術適応と考えられていたが,手術を拒否していた.昭和58年7月はじめ,強度の左心不全に陥り緊急手術を行った.手術では右冠尖,左冠尖の穿孔が認められ,また左Valsalva洞が大動脈弁輪下の左室心筋内の嚢状瘤と連続していた.S.J.M.弁による大動脈弁置換術を行い,経過良好であったが術後76日目に家庭で急死した. 剖検により左室心筋,大動脈弁輪,上行大動脈から末梢動脈に非特異性炎症像がみられ,これら一連の病変はBehcet病による炎症性変化と考えられた. Ca...

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Published in心臓 Vol. 18; no. 2; pp. 179 - 187
Main Authors 島崎, 朋司, 入沢, 敬夫, 立木, 楷, 五十嵐, 秀, 安井, 昭二, 山川, 光徳, 笠島, 武, 倉岡, 節夫, 今井, 大, 早坂, 真喜雄, 鷲尾, 正彦, 宮沢, 光瑞, 星, 永進, 小林, 稔, 青山, 克彦
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益財団法人 日本心臓財団 15.02.1986
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ISSN0586-4488
2186-3016
DOI10.11281/shinzo1969.18.2_179

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Summary:症例は55歳男性で,不完全型Behcet瘤に罹患していた.昭和53年5月頃より左心不全症状を呈し大動脈弁閉鎖不全症と診断され,その時すでに手術適応と考えられていたが,手術を拒否していた.昭和58年7月はじめ,強度の左心不全に陥り緊急手術を行った.手術では右冠尖,左冠尖の穿孔が認められ,また左Valsalva洞が大動脈弁輪下の左室心筋内の嚢状瘤と連続していた.S.J.M.弁による大動脈弁置換術を行い,経過良好であったが術後76日目に家庭で急死した. 剖検により左室心筋,大動脈弁輪,上行大動脈から末梢動脈に非特異性炎症像がみられ,これら一連の病変はBehcet病による炎症性変化と考えられた. Cardio-Behcetはまれな疾患であるが,自験例のごとく弁膜疾患を伴ったものは現在までに自験例を含めて12例しか報告がなく,またValsalva洞に動脈瘤を形成したものは4例で,後者はすべて本邦報告例であった.鑑別診断についても若干の考察を加えた.
ISSN:0586-4488
2186-3016
DOI:10.11281/shinzo1969.18.2_179