症例 急性心筋梗塞後に,肺水腫と胸膜炎の発症に顆粒球エラスターゼの関連が推察された1例
急性心筋梗塞後に心不全および感染症によらない肺水腫,胸膜炎を合併した1例を経験した.症例は58歳男性で,生来健康であったが,急性心筋梗塞(下壁梗塞)を発症し,緊急冠動脈造影を施行した.右冠動脈segment-1が完全閉塞しており,再疎通療法を試みるも再疎通できなかった.第5病日より肺野に浸潤影が出現し,第6病日には両肺に大量の胸水貯留が認められた.心機能は,Forrester分類でsubset Iを示し,心不全の所見は認められず,この時点での右室梗塞の関与は考えにくかった.胸水の性状は浸出液であったが,感染症を示す所見は得られなかった.胸水排液とウリナスタチンおよびメチル・プレドニゾロンの投与...
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Published in | 心臓 Vol. 30; no. 4; pp. 234 - 239 |
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Main Authors | , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
公益財団法人 日本心臓財団
1998
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Subjects | |
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ISSN | 0586-4488 2186-3016 |
DOI | 10.11281/shinzo1969.30.4_234 |
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Summary: | 急性心筋梗塞後に心不全および感染症によらない肺水腫,胸膜炎を合併した1例を経験した.症例は58歳男性で,生来健康であったが,急性心筋梗塞(下壁梗塞)を発症し,緊急冠動脈造影を施行した.右冠動脈segment-1が完全閉塞しており,再疎通療法を試みるも再疎通できなかった.第5病日より肺野に浸潤影が出現し,第6病日には両肺に大量の胸水貯留が認められた.心機能は,Forrester分類でsubset Iを示し,心不全の所見は認められず,この時点での右室梗塞の関与は考えにくかった.胸水の性状は浸出液であったが,感染症を示す所見は得られなかった.胸水排液とウリナスタチンおよびメチル・プレドニゾロンの投与にて徐々に改善した. 胸水が著明に貯留した時点と,改善後の血中顆粒球エラスターゼ,サイトカインを測定したところ,顆粒球エラスターゼの著明な上昇とサイトカインの変動を認め,CRPも著明に上昇していた.肺水腫,胸膜炎の合併に顆粒球エラスターゼ,サイトカインの関与が推察された症例であった. |
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ISSN: | 0586-4488 2186-3016 |
DOI: | 10.11281/shinzo1969.30.4_234 |