症例 リードリムーバルキットにより感染ペースメーカーリードを抜去した1例

症例は,69歳男性.洞不全症候群で8年前に人工ペースメーカー植え込み.昨年10月本体交換後,表皮の圧迫壊死で耐性ブドウ球菌によるリード感染,敗血症を発症.リードリムーバルキットでリードを抜去後に両側肺野の肺炎を発症し,治療に難渋した.植え込み後8年経過した心室リード抜去時,右房との癒着を認め,抜去リードにもその部位に血栓の付着を認めたことから,この肺炎は飛散した感染血栓によるものと考えられた.近年,開心術をせずに数年を経過したリードを抜去する手法が考案され,全身状態の重篤な患者に良い適応があるが,本例のように付着した血栓の飛散による肺塞栓,肺炎の合併症が起こりうることを報告した....

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Published in心臓 Vol. 25; no. 4; pp. 437 - 441
Main Authors 片井, 聡, 山本, 一也, 河野, 浩貴, 庄司, 進一, 治田, 精一, 柳澤, 信夫, 原田, 健志, 唐沢, 光治, 長田, 和裕
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益財団法人 日本心臓財団 1993
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ISSN0586-4488
2186-3016
DOI10.11281/shinzo1969.25.4_437

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Summary:症例は,69歳男性.洞不全症候群で8年前に人工ペースメーカー植え込み.昨年10月本体交換後,表皮の圧迫壊死で耐性ブドウ球菌によるリード感染,敗血症を発症.リードリムーバルキットでリードを抜去後に両側肺野の肺炎を発症し,治療に難渋した.植え込み後8年経過した心室リード抜去時,右房との癒着を認め,抜去リードにもその部位に血栓の付着を認めたことから,この肺炎は飛散した感染血栓によるものと考えられた.近年,開心術をせずに数年を経過したリードを抜去する手法が考案され,全身状態の重篤な患者に良い適応があるが,本例のように付着した血栓の飛散による肺塞栓,肺炎の合併症が起こりうることを報告した.
ISSN:0586-4488
2186-3016
DOI:10.11281/shinzo1969.25.4_437