HEART's Original [症例] ヘパリン起因性血小板減少症による急性冠閉塞時に血栓吸引を施行し得た1例

症例は81歳,女性.2005年2月に前壁中隔梗塞を発症し,保存的治療の後当院に転院し,心臓カテーテル検査を施行.検査直後胸痛とともに心電図上且II,III,aVFでST上昇を認め再造影したところ,右冠動脈は攣縮とともに血栓による完全閉塞を認め,直ちに血栓吸引を施行し,ステントを留置した.前医入院中に深部静脈血栓症に伴う肺塞栓症があり,検査後に血小板減少を認め,ヘパリン依存性抗体も陽性であり,ヘパリン起因性血小板減少症(HIT)と考えられた.吸引された血栓は血小板成分が主体でフィブリン成分に乏しく,白血球成分は好中球,単核球とともに好酸球を多く含んでおり,通常の急性冠症候群でみられる赤血球成分を...

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Published in心臓 Vol. 38; no. 7; pp. 700 - 704
Main Authors 江角, 仁志, 濱嵜, 裕司, 松山, 高明, 武井, 雅俊, 櫻井, 将之, 片桐, 敬, 太田, 秀一, 酒井, 哲郎
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益財団法人 日本心臓財団 2006
Subjects
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ISSN0586-4488
2186-3016
DOI10.11281/shinzo1969.38.7_700

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Summary:症例は81歳,女性.2005年2月に前壁中隔梗塞を発症し,保存的治療の後当院に転院し,心臓カテーテル検査を施行.検査直後胸痛とともに心電図上且II,III,aVFでST上昇を認め再造影したところ,右冠動脈は攣縮とともに血栓による完全閉塞を認め,直ちに血栓吸引を施行し,ステントを留置した.前医入院中に深部静脈血栓症に伴う肺塞栓症があり,検査後に血小板減少を認め,ヘパリン依存性抗体も陽性であり,ヘパリン起因性血小板減少症(HIT)と考えられた.吸引された血栓は血小板成分が主体でフィブリン成分に乏しく,白血球成分は好中球,単核球とともに好酸球を多く含んでおり,通常の急性冠症候群でみられる赤血球成分を多く含む血栓とは明らかに異なっていた.HITによる冠動脈血栓を組織学的に評価できた稀な症例と考えられた.
ISSN:0586-4488
2186-3016
DOI:10.11281/shinzo1969.38.7_700