研究 狭心症自然発作時における冠動脈造影と心電図変化およびergonovi誘発発作との対比検討

狭心症自然発作中に冠動脈造影を施行しえた15例において,冠動脈造影所見,心電図変化,ergonovine maleate(EM)による狭心発作誘発試験成績につき検討した. 15例は全例狭心症状を有し,1例に心筋梗塞の既往を認めた.Master二段階試験は3例で陽性であり,うち2例でST上昇を認めた.自然発作時,8例で右冠動脈に,4例で左冠動脈に,3例では両者に高度の冠スパズムが認められた.発作中の心電図では,当該冠動脈の灌流領域に一致して3例でST変化が認められ,冠スパズムが高度な場合にはST上昇を,冠スパズムが比較的軽度な場合や,良好な側副血行路が出現した例ではST低下を示した.T変化のみを...

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Published in心臓 Vol. 14; no. 4; pp. 462 - 471
Main Authors 高山, 幸男, 服部, 隆一, 須沢, 俊, 斎藤, 太郎, 中村, 展招, 吉崎, 哲世, 高地, 恭二, 西村, 健司, 佐藤, 信, 延吉, 正清, 野坂, 秀行
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益財団法人 日本心臓財団 1982
Subjects
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ISSN0586-4488
2186-3016
DOI10.11281/shinzo1969.14.4_462

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Summary:狭心症自然発作中に冠動脈造影を施行しえた15例において,冠動脈造影所見,心電図変化,ergonovine maleate(EM)による狭心発作誘発試験成績につき検討した. 15例は全例狭心症状を有し,1例に心筋梗塞の既往を認めた.Master二段階試験は3例で陽性であり,うち2例でST上昇を認めた.自然発作時,8例で右冠動脈に,4例で左冠動脈に,3例では両者に高度の冠スパズムが認められた.発作中の心電図では,当該冠動脈の灌流領域に一致して3例でST変化が認められ,冠スパズムが高度な場合にはST上昇を,冠スパズムが比較的軽度な場合や,良好な側副血行路が出現した例ではST低下を示した.T変化のみを示した2例は,高度器質的狭窄例であった.EM試験は6例に施行し,5例で陽性であった.うち3例では自然発作と同様の発作が誘発されたが,他の2例ではEMは必ずしも自然発作を再現せず,異なった冠スパズム像,心電図変化を呈した.
ISSN:0586-4488
2186-3016
DOI:10.11281/shinzo1969.14.4_462