症例 急性心筋梗塞を併発し,冠動脈造影上血栓によると思われる不整な陰影欠損像を示した真性多血症の1例

症例は48歳女性で,前胸部痛を主訴に来院.心電図,心エコー図,心筋逸脱酵素等の所見より前壁中隔および高位側壁の急性心筋梗塞と診断した.さらに,血液学的検査より真性多血症と診断した.本例の血小板機能は正常だが,血液粘稠度は異常に増加していた.冠動脈造影では,左前下行枝に通常の動脈硬化性変化とは異なる不整な陰影欠損像を認めた.しかし,他の冠動脈は正常で壁は極めて平滑であった.左前下行枝の特徴的な狭窄性変化は血栓によるものと考えられた. これらの所見は,本例の急性心筋梗塞発症の主因が,真性多血症に伴う血液粘稠度の充進による血栓形成傾向であることを示唆するものと考えられた....

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Published in心臓 Vol. 23; no. 8; pp. 912 - 917
Main Authors 西尾, 一郎, 山本, 勝広, 松谷, 良清, 茂原, 治, 中村, 秀也, 友渕, 佳明, 星屋, 博信, 川原, 健彦, 笠松, 健, 増山, 善明
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益財団法人 日本心臓財団 1991
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ISSN0586-4488
2186-3016
DOI10.11281/shinzo1969.23.8_912

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Summary:症例は48歳女性で,前胸部痛を主訴に来院.心電図,心エコー図,心筋逸脱酵素等の所見より前壁中隔および高位側壁の急性心筋梗塞と診断した.さらに,血液学的検査より真性多血症と診断した.本例の血小板機能は正常だが,血液粘稠度は異常に増加していた.冠動脈造影では,左前下行枝に通常の動脈硬化性変化とは異なる不整な陰影欠損像を認めた.しかし,他の冠動脈は正常で壁は極めて平滑であった.左前下行枝の特徴的な狭窄性変化は血栓によるものと考えられた. これらの所見は,本例の急性心筋梗塞発症の主因が,真性多血症に伴う血液粘稠度の充進による血栓形成傾向であることを示唆するものと考えられた.
ISSN:0586-4488
2186-3016
DOI:10.11281/shinzo1969.23.8_912