臨床 肺高血圧症におけるberaprost sodiumの有効性

中等度~高度肺高血圧症(PH)患者における,PGI2経口製剤beraprost(BPS)の急性および慢性効果について検討した.治療前の肺動脈平均圧が35mmHg以上で,NYHA心機能分類上III-IV度であった11例を対象とした.急性投与試験は10例に対して施行し,BPS2μg/kgを経口投与後15分ごとに右心カテーテル検査を用いて血行動態の変化を測定した.7例にBPS(60-120μg/日)を1カ月間長期投与したのち,再度血行動態を計測して慢性効果を判定した.急性投与試験において肺動脈平均圧は60mmHgから55mmHgと有意に減少したが,3例で20%以上の高度な体動脈圧低下を伴った.慢性投...

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Published in心臓 Vol. 28; no. 6; pp. 473 - 480
Main Authors 中山, 泰徳, 吉岡, 公夫, 国枝, 武義, 岡野, 嘉明, 下内, 章人, 佐藤, 徹
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益財団法人 日本心臓財団 1996
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ISSN0586-4488
2186-3016
DOI10.11281/shinzo1969.28.6_473

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Summary:中等度~高度肺高血圧症(PH)患者における,PGI2経口製剤beraprost(BPS)の急性および慢性効果について検討した.治療前の肺動脈平均圧が35mmHg以上で,NYHA心機能分類上III-IV度であった11例を対象とした.急性投与試験は10例に対して施行し,BPS2μg/kgを経口投与後15分ごとに右心カテーテル検査を用いて血行動態の変化を測定した.7例にBPS(60-120μg/日)を1カ月間長期投与したのち,再度血行動態を計測して慢性効果を判定した.急性投与試験において肺動脈平均圧は60mmHgから55mmHgと有意に減少したが,3例で20%以上の高度な体動脈圧低下を伴った.慢性投与試験において肺動脈平均圧は62mmHgから48mmHgとさらに減少し,体血圧の低下は全例軽度にとどまった.7例中6例は肺血管抵抗値からみて20%以上の減少を示し,うち4例で自覚症状も改善した.BPSは,既に報告されているPGI2静注製剤と同様に,PHの血管拡張療法において有用性が高いと考えられた.
ISSN:0586-4488
2186-3016
DOI:10.11281/shinzo1969.28.6_473