鼻咽腔閉鎖機能判定における有声blowing(voiced blowing)の有用性について

【目的】有声blowing(以下VB)時の呼気鼻漏出の有無を確認する事が鼻咽腔閉鎖機能(VPF)の判定に有用であるかどうか検討した。 【対象】平成22年12月から平成24年6月までに口蓋裂術後評価を実施した212名(男98名,女114名)を対象とした。評価時年齢は平均10±4歳で,知的障害,22q11.2欠失症候群,難聴,瘻孔残存例は除外した。これらに対し,1回ないし複数回の評価を行い,全データは363例であった。評価法は日本コミュニケーション障害学会口蓋裂言語検査法に準じ,併せてVB時の呼気鼻漏出を「」か「あり」で判定した。 【結果】(1) blowingおよびVBに呼気鼻漏出が認められなか...

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Published in日本口蓋裂学会雑誌 Vol. 38; no. 1; pp. 90 - 96
Main Authors 加藤, 光剛, 鈴木, 藍, 朴, 修三, 北野, 市子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本口蓋裂学会 2013
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ISSN0386-5185
2186-5701
DOI10.11224/cleftpalate.38.90

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Summary:【目的】有声blowing(以下VB)時の呼気鼻漏出の有無を確認する事が鼻咽腔閉鎖機能(VPF)の判定に有用であるかどうか検討した。 【対象】平成22年12月から平成24年6月までに口蓋裂術後評価を実施した212名(男98名,女114名)を対象とした。評価時年齢は平均10±4歳で,知的障害,22q11.2欠失症候群,難聴,瘻孔残存例は除外した。これらに対し,1回ないし複数回の評価を行い,全データは363例であった。評価法は日本コミュニケーション障害学会口蓋裂言語検査法に準じ,併せてVB時の呼気鼻漏出を「」か「あり」で判定した。 【結果】(1) blowingおよびVBに呼気鼻漏出が認められなかったのは363例中250例で,VPFの総合判定は良好207例,ごく軽度不全38例,軽度不全5例であった。 (2) blowing時に呼気鼻漏出がみられず,VBに鼻漏出が認められたのは54例で,VPFは良好19例,ごく軽度不全28例,軽度不全7例であった。(1)と(2)におけるVPF判定結果の相違についてχ二乗検定し,有意差を認めた。 (3) blowing時に呼気鼻漏出があり,VB時に認められなかったものは4例で,全例ごく軽度不全であった。 (4) blowing時にもVB時にも両方に呼気鼻漏出が認められたものは55例で,VPFの総合判定は良好例,ごく軽度不全40例,軽度不全9例,不全6例であった。 (5) 経年的な変化が把握できた111名の中には,VB 時の呼気鼻漏出が,その後のVPF悪化の予兆となっている例もみられた。 【考察】VBはより語音産生に近いと思われ,その呼気鼻漏出を確認することは,blowing時に呼気鼻漏出が認められない症例のVPF判定を補完する有用性があると思われた。さらにVPFが良好と思われてもVBで鼻漏出が認められる場合は悪化する兆候である可能性が示唆された。
ISSN:0386-5185
2186-5701
DOI:10.11224/cleftpalate.38.90