症例 洞電位直接記録法により洞房伝導障害が証明された甲状腺機能低下症の1例
症例:48歳,女性.45歳頃より頸部の腫張と動悸を自覚,47歳時,心房細動および甲状腺機能充進症の診断を受け,チアマゾールによる治療を開始される.8カ月後には洞調律に復したが,その後,洞停止あるいは洞房ブロックが出現し,精査加療目的で紹介となる.チアマゾール中止後約1週間で甲状腺機能は正常化し,不整脈も消失した.甲状腺機能正常化後の2回にわたる電気生理学的検査の結果,洞房伝導時間,A-H時間の延長と右室の有効不応期の延長を認め,洞電位直接記録法によりオーバードライブ後に洞房ブロックが確認されたが,洞房伝導時間,A-H時間,右室有効不応期ともに2回目には改善傾向が認められた. 甲状腺機能低下症に...
Saved in:
| Published in | 心臓 Vol. 24; no. 1; pp. 102 - 106 |
|---|---|
| Main Authors | , , , , , |
| Format | Journal Article |
| Language | Japanese |
| Published |
公益財団法人 日本心臓財団
1992
|
| Subjects | |
| Online Access | Get full text |
| ISSN | 0586-4488 2186-3016 |
| DOI | 10.11281/shinzo1969.24.1_102 |
Cover
| Summary: | 症例:48歳,女性.45歳頃より頸部の腫張と動悸を自覚,47歳時,心房細動および甲状腺機能充進症の診断を受け,チアマゾールによる治療を開始される.8カ月後には洞調律に復したが,その後,洞停止あるいは洞房ブロックが出現し,精査加療目的で紹介となる.チアマゾール中止後約1週間で甲状腺機能は正常化し,不整脈も消失した.甲状腺機能正常化後の2回にわたる電気生理学的検査の結果,洞房伝導時間,A-H時間の延長と右室の有効不応期の延長を認め,洞電位直接記録法によりオーバードライブ後に洞房ブロックが確認されたが,洞房伝導時間,A-H時間,右室有効不応期ともに2回目には改善傾向が認められた. 甲状腺機能低下症における房室伝導障害の報告は散見されるが,洞房伝導障害の報告は非常に少ない.しかし,甲状腺機能低下症による心筋の変化は心臓全体に及んでいると考えられ,本症例のような洞房伝導障害も少なからず存在するものと推測される. |
|---|---|
| ISSN: | 0586-4488 2186-3016 |
| DOI: | 10.11281/shinzo1969.24.1_102 |