抗ピロプラズマ剤開発のためのBabesia rodhaini および Plasmodium berghei 感染マウスによる二重スクリーニング

わが国におけるTheileria sergenti感染による牛タイレリア病に対する新薬の開発手法の確立を目的として, Babesia rodhainiとPlasmodium dergheiを用いる二重スクリーニング・システムの適用を試みた. B.rodhainiまたはP.bergheiの感染血球浮遊液を腹腔内接種したマウス群に10数種の薬剤を, それぞれ皮下注射または飼料添加で投与した. 抗バベシア剤や抗タイレリア剤の多くは, どちらかの原虫感染には完全に有効であり, 他の一方にはやや有効であった. 抗コクシジウム剤を含むその他の薬剤の中, サリノマイシンとテトロカルシンA以外は両感染に全く無...

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Published in日本獸醫學雜誌(The Japanese Journal of Veterinary Science) Vol. 47; no. 1; pp. 101 - 109
Main Authors 伊藤, 進午, 志村, 亀夫
Format Journal Article
LanguageEnglish
Japanese
Published 公益社団法人 日本獣医学会 1985
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ISSN0021-5295
1881-1442
DOI10.1292/jvms1939.47.101

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Summary:わが国におけるTheileria sergenti感染による牛タイレリア病に対する新薬の開発手法の確立を目的として, Babesia rodhainiとPlasmodium dergheiを用いる二重スクリーニング・システムの適用を試みた. B.rodhainiまたはP.bergheiの感染血球浮遊液を腹腔内接種したマウス群に10数種の薬剤を, それぞれ皮下注射または飼料添加で投与した. 抗バベシア剤や抗タイレリア剤の多くは, どちらかの原虫感染には完全に有効であり, 他の一方にはやや有効であった. 抗コクシジウム剤を含むその他の薬剤の中, サリノマイシンとテトロカルシンA以外は両感染に全く無効か, または両感染の一方に有効であっても, 他の一方には無効であった. サリノマイシンは両感染群マウスの生存期間を延長したに過ぎなかったが, テトロカルシンAは一定投薬量で両群マウスが全例生残った. さらに投薬期間の短縮も可能であった. 以上の成績から, B.rodhainiとP.bergheiを用いた二重スクリーニング・システムの有用性が示唆された.
ISSN:0021-5295
1881-1442
DOI:10.1292/jvms1939.47.101