症例 慢性呼吸不全の急性増悪により心電図上特徴的なQRS変化をきたした慢性肺気腫の1例

慢性肺気腫による慢性呼吸不全で在宅酸素療法中の患者において,慢性呼吸不全の急性増悪により,経過中に心電図上興味あるQRS変化をきたしたので報告する.症例は74歳男性で在宅酸素療法を受けていたが,呼吸困難,下肢の浮腫,心陰影の拡大が出現し呼吸不全の悪化として当科入院となった.標準12誘導心電図にて著明な右軸偏位,V1~3にQ波が認められ,V1のR波が増高し,V3~6のR波が減高した.ベクトル心電図では著明な右室肥大が認められた.気管切開後,低酸素血症,心陰影の拡大は改善し,それとともに標準12誘導心電図,ベクトル心電図も急性増悪前のQRSに回復し右室負荷は軽減した. 本症例は慢性閉塞性肺疾患など...

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Published in心臓 Vol. 24; no. 2; pp. 183 - 188
Main Authors 小沢, 竹俊, 池田, こずえ, 久保田, 功, 柴田, 健彦, 立木, 楷, 安井, 昭二, 長内, 和弘
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益財団法人 日本心臓財団 1992
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ISSN0586-4488
2186-3016
DOI10.11281/shinzo1969.24.2_183

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Summary:慢性肺気腫による慢性呼吸不全で在宅酸素療法中の患者において,慢性呼吸不全の急性増悪により,経過中に心電図上興味あるQRS変化をきたしたので報告する.症例は74歳男性で在宅酸素療法を受けていたが,呼吸困難,下肢の浮腫,心陰影の拡大が出現し呼吸不全の悪化として当科入院となった.標準12誘導心電図にて著明な右軸偏位,V1~3にQ波が認められ,V1のR波が増高し,V3~6のR波が減高した.ベクトル心電図では著明な右室肥大が認められた.気管切開後,低酸素血症,心陰影の拡大は改善し,それとともに標準12誘導心電図,ベクトル心電図も急性増悪前のQRSに回復し右室負荷は軽減した. 本症例は慢性閉塞性肺疾患などで酸素吸の管理が必要な症例における心電図変化の重要性を示唆するものと考えられた.
ISSN:0586-4488
2186-3016
DOI:10.11281/shinzo1969.24.2_183