粒子線治療(陽子線・炭素イオン線)

粒子線(陽子線・炭素イオン線)は、深部で停止する直前に最大のエネルギーを放出するため、周囲正常組織への線量は低いまま、腫瘍へ高線量を照射可能である。頭頸部領域における粒子線治療は主として悪性黒色腫、腺様嚢胞癌といった X 線抵抗性腫瘍に対して行われ、良好な治療成績を上げてきた。兵庫県立粒子線医療センターでは陽子線と炭素イオン線の両方が使用可能であるが、これまでの臨床成績の後ろ向き解析結果からは、治療効果・有害事象とも有意差を認めていない。陽子線よりもペナンブラがシャープな炭素イオン線は、特に重要臓器が密集している頭頸部領域ではより良好な線量分布を得られることが多い。本当に両線種の臨床成績に差が...

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Published in耳鼻と臨床 Vol. 60; no. Suppl.1; pp. S38 - S43
Main Author 出水, 祐介
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 耳鼻と臨床会 20.11.2014
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ISSN0447-7227
2185-1034
DOI10.11334/jibi.60.Suppl.1_S38

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Summary:粒子線(陽子線・炭素イオン線)は、深部で停止する直前に最大のエネルギーを放出するため、周囲正常組織への線量は低いまま、腫瘍へ高線量を照射可能である。頭頸部領域における粒子線治療は主として悪性黒色腫、腺様嚢胞癌といった X 線抵抗性腫瘍に対して行われ、良好な治療成績を上げてきた。兵庫県立粒子線医療センターでは陽子線と炭素イオン線の両方が使用可能であるが、これまでの臨床成績の後ろ向き解析結果からは、治療効果・有害事象とも有意差を認めていない。陽子線よりもペナンブラがシャープな炭素イオン線は、特に重要臓器が密集している頭頸部領域ではより良好な線量分布を得られることが多い。本当に両線種の臨床成績に差がないかどうかを明らかにするには前向き比較試験が必要だが、主な対象が稀少腫瘍ということもあり、実現のハードルは高い。
ISSN:0447-7227
2185-1034
DOI:10.11334/jibi.60.Suppl.1_S38