研究 小児のWPW症候群におけるprocainamideの電気生理学的影響

小児のWPW症候群21例に対し,副伝導路に対するprocainamideの臨床電気生理学的影響を検討した.その結果,小児においてもprocainamideは用量依存性に副伝導路を抑制した.しかし発作性上室性頻拍症を有する症例では発作の誘発を完全に抑制することは,ほとんどできなかったが,頻拍周期の延長と頻拍中のVA時間による室房伝導,ならびにAV時間による房室伝導の延長が認められた.頻拍は全例正常房室結節を順行し,副伝導路を逆行する回帰性頻拍のため,頻拍申の室房伝導の延長は副伝導路の逆行性伝導が抑制されていることを示すと考えられた.しかしprocainamideを静注し,デルタ波の消失した時点の...

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Published in心臓 Vol. 21; no. 2; pp. 142 - 148
Main Authors 藤関, 義樹, 西川, 僚一, 杉山, 俊明, 藤野, 英俊, 島田, 司巳, 角野, 文彦, 西島, 節
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益財団法人 日本心臓財団 1989
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ISSN0586-4488
2186-3016
DOI10.11281/shinzo1969.21.2_142

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Summary:小児のWPW症候群21例に対し,副伝導路に対するprocainamideの臨床電気生理学的影響を検討した.その結果,小児においてもprocainamideは用量依存性に副伝導路を抑制した.しかし発作性上室性頻拍症を有する症例では発作の誘発を完全に抑制することは,ほとんどできなかったが,頻拍周期の延長と頻拍中のVA時間による室房伝導,ならびにAV時間による房室伝導の延長が認められた.頻拍は全例正常房室結節を順行し,副伝導路を逆行する回帰性頻拍のため,頻拍申の室房伝導の延長は副伝導路の逆行性伝導が抑制されていることを示すと考えられた.しかしprocainamideを静注し,デルタ波の消失した時点の投与量からWPW症候群における高リスク群を選択するのは洞周期が変化に富み,副伝導路特性の経年的変化が不明な小児では限界を有していると考えられた。
ISSN:0586-4488
2186-3016
DOI:10.11281/shinzo1969.21.2_142