半導体レーザーと光熱変換チップを用いた根管洗浄剤活性化時の根尖孔外への圧力の評価

目的 : レーザーを用いた根管洗浄法は優れた根管清掃効果を示すことが報告されているが, 根尖孔からの洗浄液溢出のリスクが懸念されている. 本研究では, 光熱変換チップ (Thermo-optically Powered tip : TOPチップ) を使用した980nm半導体レーザー (Alta Modular Laser System : MLS) によって根管洗浄液の活性化を行った際に, 根尖孔外に生じる圧力を評価することを目的とした. 材料と方法 : プラスチック製根管模型 (先端径0.40mm, テーパー6%) に蒸留水を満たし, MLSおよびTOPチップによる根管洗浄 (TOP群) あ...

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Published in日本歯科保存学雑誌 Vol. 62; no. 6; pp. 304 - 310
Main Authors 星原, 康宏, 本郷, 智之, 渡辺, 聡, 高野, 晃, 八尾, 香奈子, 佐竹, 和久, 興地, 隆史, 山内, 慎也
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本歯科保存学会 2019
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ISSN0387-2343
2188-0808
DOI10.11471/shikahozon.62.304

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Summary:目的 : レーザーを用いた根管洗浄法は優れた根管清掃効果を示すことが報告されているが, 根尖孔からの洗浄液溢出のリスクが懸念されている. 本研究では, 光熱変換チップ (Thermo-optically Powered tip : TOPチップ) を使用した980nm半導体レーザー (Alta Modular Laser System : MLS) によって根管洗浄液の活性化を行った際に, 根尖孔外に生じる圧力を評価することを目的とした. 材料と方法 : プラスチック製根管模型 (先端径0.40mm, テーパー6%) に蒸留水を満たし, MLSおよびTOPチップによる根管洗浄 (TOP群) あるいは従来のシリンジ洗浄 (SI群) を, TOPチップならびに洗浄針の先端を根尖孔から2, 5, 10mmの位置に設置した状態で20秒間行った. レーザー設定値は2W (120mJ, 16pps) とした. 洗浄中に根尖孔外に生じる圧力は, 根管模型根尖部に圧力計測装置を接続して計測した. 二元配置分散分析およびTukey-Kramer法により, 有意水準5%で統計解析した. 結果 : SI群 (根尖孔から2, 5mm) では, 他群と比較して有意に大きい圧力が生じた (p<0.05). TOP群では, チップ挿入深度の相違による圧力の有意差は認められなかった (p>0.05). 結論 : 本実験条件下では, MLSおよびTOPチップによる根管洗浄液活性化を行った場合に根尖孔外に生じる圧力は, チップ挿入深度が深い条件では従来のシリンジ洗浄と比較して有意に低値を示した.
ISSN:0387-2343
2188-0808
DOI:10.11471/shikahozon.62.304