血小板凝集能の簡易定量法とその臨床応用について
20名の volunteers と89名の虚血性心疾患患者 (以下IHDPと略す) の platelet-rich plasma (以下PRPと略す) を用いて, 血小板凝集能の定量的測定法を検討した. 凝集惹起物質ADP (1.0μM) と epinephrine (0.1μM) 溶液を対象者のPRPに添加すると, 血小板凝集能は volunteers も IHDPも全く同様に明白に2群に別れた. そこで, 1.0μM ADP溶液添加の場合は最大凝集時間を測定して, 統計処理を行った. 0.1μM epinephrine 溶液添加の場合は, 最大凝集率を測定し, 統計処理を行った. その結果...
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| Published in | 日本老年医学会雑誌 Vol. 35; no. 10; pp. 748 - 756 |
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| Main Authors | , , |
| Format | Journal Article |
| Language | Japanese |
| Published |
一般社団法人 日本老年医学会
25.10.1998
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| Subjects | |
| Online Access | Get full text |
| ISSN | 0300-9173 |
| DOI | 10.3143/geriatrics.35.748 |
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| Summary: | 20名の volunteers と89名の虚血性心疾患患者 (以下IHDPと略す) の platelet-rich plasma (以下PRPと略す) を用いて, 血小板凝集能の定量的測定法を検討した. 凝集惹起物質ADP (1.0μM) と epinephrine (0.1μM) 溶液を対象者のPRPに添加すると, 血小板凝集能は volunteers も IHDPも全く同様に明白に2群に別れた. そこで, 1.0μM ADP溶液添加の場合は最大凝集時間を測定して, 統計処理を行った. 0.1μM epinephrine 溶液添加の場合は, 最大凝集率を測定し, 統計処理を行った. その結果, ADPによる凝集反応では, 正常な凝集を示した症例は, volunteers 13名0.71±0.12min (mean±SD), IHDP50名0.91±0.49min, 凝集能亢進を示した症例は volunteers 7名5.34±1.18min, IHDP39名6.01±1.22min, epinephrine による凝集反応では, 正常な凝集を示した症例は volunteers 14名8.04±4.14%, IHDP52名13.74±5.75%, 凝集能亢進を示した症例では Volunteers 6名76.33±9.91%, IHDP37名77.26±13.39%であった. 以上, 正常な凝集を示した群と凝集能亢進を示した群については統計学的にすべて有意差があった (p<0.001). つぎに, IHDPでADP溶液による血小板凝集能亢進患者の中から15名を選び抗血小板剤 (dipyridamole, aspirin) 投与による治療効果の有無を上記の方法で測定した. 治療前には, ADP溶液添加では, 最大凝集時間 (15名) 5.98±1.24min, であったが, epinephrine 溶液添加では最大凝集率は10名: 78.90±11.60%, 5名: 20.00±3.24%の2群に分かれた. 治療後にはADP溶液添加では10名: 0.94±0.21min (正常化), 5名: 5.90±1.09min (亢進: 無効), epinephrine 溶液添加では, 10名: 14.11±5.88% (正常), 5名: 75.00±9.51% (亢進) であった. つぎに, 血小板凝集能亢進患者6名に対し種々の抗血小板剤を長期間投与し, 血小板凝集能の推移を定量的に観察し, 全例について良好な治療結果が得られた. |
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| ISSN: | 0300-9173 |
| DOI: | 10.3143/geriatrics.35.748 |