老年者高血圧薬物療法の実態 大学病院, 総合病院, 個人開業医の施設分類別による検討

老年者高血圧薬物治療の実態をケースカード調査により施設分類別に検討した. 全体で2,897例のデータが集積されたが, 65歳未満の非老年者群 (1,422例), 65歳以上の老年者群 (1,475例) を合わせた全例ではカルシウム拮抗薬が76.3%で使用され, 次いでβ遮断薬が31.4%, ACE阻害薬が25.1%, 利尿薬が18.1%, α1遮断薬が10.5%, カリウム保持性利尿薬が8.8%に投与されていた. 年齢群別にみると, 非老年者群に比し老年者群では, β遮断薬, ACE阻害薬の使用頻度は少なく, 逆に降圧利尿薬の使用例が多かった. 大学病院, 総合病院循環器科, 個人開業医の3施...

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Published in日本老年医学会雑誌 Vol. 32; no. 10; pp. 648 - 655
Main Authors 飯村, 攻, 島本, 和明, 増田, 敦
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本老年医学会 25.10.1995
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ISSN0300-9173
DOI10.3143/geriatrics.32.648

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Summary:老年者高血圧薬物治療の実態をケースカード調査により施設分類別に検討した. 全体で2,897例のデータが集積されたが, 65歳未満の非老年者群 (1,422例), 65歳以上の老年者群 (1,475例) を合わせた全例ではカルシウム拮抗薬が76.3%で使用され, 次いでβ遮断薬が31.4%, ACE阻害薬が25.1%, 利尿薬が18.1%, α1遮断薬が10.5%, カリウム保持性利尿薬が8.8%に投与されていた. 年齢群別にみると, 非老年者群に比し老年者群では, β遮断薬, ACE阻害薬の使用頻度は少なく, 逆に降圧利尿薬の使用例が多かった. 大学病院, 総合病院循環器科, 個人開業医の3施設分類別に検討したところ, 大学病院では, β遮断薬, 利尿薬の使用頻度が高く, 個人開業医は他の2群に比しACE阻害薬の使用頻度は低かった. 以上, 非老年者群同様, 老年者群でもカルシウム拮抗薬の使用頻度が最も高かったが, 他の薬剤に関しては患者の年齢, 施設の状況によりその使われ方に相違のあることが判明した.
ISSN:0300-9173
DOI:10.3143/geriatrics.32.648