症例 冠動脈塞栓が疑われ,正常冠動脈像を呈し,僧帽弁狭窄症を伴った急性心筋梗塞の1例
近年明らかな心筋梗塞にもかかわらず,冠動脈造影にて異常を認めない症例の報告を見る.今回われわれは,心電図,血清酵素学的には明らかに心筋梗塞でありながら,冠動脈造影にて有意な狭窄を認めない症例を経験したので報告する.34歳男子,職業は農夫,仕事中突然両捌下肢のシビレ感,腹部痛を訴え近医を受診,心電図および血清酵素学的に心筋梗塞を疑われ当科紹介となる.聴診にてI音の亢進,opening snapを認め,またUCGにてもMitral stenosisが疑われた.左室造影では,下壁領域に低収縮を認め,また僧帽弁の動きも悪く,乳頭筋の肥厚も認められた.冠動脈造影を施行したが左右冠動脈には有為な狭窄を認め...
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Published in | 心臓 Vol. 17; no. 1; pp. 56 - 62 |
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Main Authors | , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
公益財団法人 日本心臓財団
1985
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Online Access | Get full text |
ISSN | 0586-4488 2186-3016 |
DOI | 10.11281/shinzo1969.17.1_56 |
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Summary: | 近年明らかな心筋梗塞にもかかわらず,冠動脈造影にて異常を認めない症例の報告を見る.今回われわれは,心電図,血清酵素学的には明らかに心筋梗塞でありながら,冠動脈造影にて有意な狭窄を認めない症例を経験したので報告する.34歳男子,職業は農夫,仕事中突然両捌下肢のシビレ感,腹部痛を訴え近医を受診,心電図および血清酵素学的に心筋梗塞を疑われ当科紹介となる.聴診にてI音の亢進,opening snapを認め,またUCGにてもMitral stenosisが疑われた.左室造影では,下壁領域に低収縮を認め,また僧帽弁の動きも悪く,乳頭筋の肥厚も認められた.冠動脈造影を施行したが左右冠動脈には有為な狭窄を認めなかった.両側下肢のシビレ感を訴えることから大腿動脈造影を施行,左膝下動脈に閉塞を認めたことから,左房内血栓の存在は確認できなかったが,血栓が右冠動脈に塞栓し急性心筋梗塞を生じたが,6カ月以内に再疎通したものと考えられた. |
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ISSN: | 0586-4488 2186-3016 |
DOI: | 10.11281/shinzo1969.17.1_56 |