経過中に異なったタイプのthrombotic microangiopathy(TMA)を呈したループス腎炎の1例
症例は26歳女性,顔面と下腿の浮腫を主訴に近医受診し,血栓性血小板減少性紫斑病(thrombotic thrombocytopenic purpura:TTP)との診断のもと,血漿交換が施行され,ADAMTS13活性が上昇したにもかかわらず,血小板数が再低下し当科へ紹介となった.分析によりADAMTS13のインヒビターは存在せず,ADAMTS13の非中和抗体によるTTPであり,ループス腎炎によるネフローゼ症候群も合併していることが明らかとなった.その後も破砕赤血球の出現を伴う血小板低下が出現し,SLE(systemic lupus erythematosus)の血管内皮傷害による血栓性微小血管...
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Published in | 日本内科学会雑誌 Vol. 104; no. 12; pp. 2581 - 2588 |
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Main Authors | , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本内科学会
2015
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Subjects | |
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ISSN | 0021-5384 1883-2083 |
DOI | 10.2169/naika.104.2581 |
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Summary: | 症例は26歳女性,顔面と下腿の浮腫を主訴に近医受診し,血栓性血小板減少性紫斑病(thrombotic thrombocytopenic purpura:TTP)との診断のもと,血漿交換が施行され,ADAMTS13活性が上昇したにもかかわらず,血小板数が再低下し当科へ紹介となった.分析によりADAMTS13のインヒビターは存在せず,ADAMTS13の非中和抗体によるTTPであり,ループス腎炎によるネフローゼ症候群も合併していることが明らかとなった.その後も破砕赤血球の出現を伴う血小板低下が出現し,SLE(systemic lupus erythematosus)の血管内皮傷害による血栓性微小血管症(thrombotic microangiopathy:TMA)と診断した.ステロイドのパルス療法とエンドキサンパルス療法にてTMAの再燃を徐々に抑制することができ,軽快退院となった.TMAの原因を判断しながら加療することが重要と考えられた. |
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ISSN: | 0021-5384 1883-2083 |
DOI: | 10.2169/naika.104.2581 |