オピオイドの血中濃度低下が原因として疑われた精神症状に徐放製剤の分割投与が有効であった乳がんの一例

緒言:オピオイド離脱症候群では自律神経症状や精神症状が出現する.今回,がん疼痛に対してヒドロモルフォンを投与していた患者が離脱症候群と類似した精神症状を認め,徐放製剤の分割投与を行うことで症状が改善した症例を経験した.症例:60歳女性.左乳がん術後,腰椎転移再発に伴う疼痛に対してヒドロモルフォン,非オピオイド鎮痛薬,鎮痛補助薬,神経ブロックによる治療を行っていたがヒドロモルフォン徐放製剤の定期内服前に不安やいらいら,静座不能といった症状が出現するようになった.定期内服から数時間後には改善していたことからオピオイドの血中濃度低下の影響を考え,同薬剤を1日2回の分割投与に変更したところ,症状は劇的...

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Published inPalliative Care Research Vol. 20; no. 2; pp. 89 - 93
Main Authors 相木, 佐代, 前倉, 俊也, 田宮, 裕子, 櫻井, 真知子, 八十島, 宏行, 吉金, 鮎美
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本緩和医療学会 2025
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ISSN1880-5302
DOI10.2512/jspm.20.89

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Summary:緒言:オピオイド離脱症候群では自律神経症状や精神症状が出現する.今回,がん疼痛に対してヒドロモルフォンを投与していた患者が離脱症候群と類似した精神症状を認め,徐放製剤の分割投与を行うことで症状が改善した症例を経験した.症例:60歳女性.左乳がん術後,腰椎転移再発に伴う疼痛に対してヒドロモルフォン,非オピオイド鎮痛薬,鎮痛補助薬,神経ブロックによる治療を行っていたがヒドロモルフォン徐放製剤の定期内服前に不安やいらいら,静座不能といった症状が出現するようになった.定期内服から数時間後には改善していたことからオピオイドの血中濃度低下の影響を考え,同薬剤を1日2回の分割投与に変更したところ,症状は劇的に減少した.結論:オピオイドの内服中に離脱症状に類似した精神症状を呈した場合は,血中濃度低下の影響を考え,分割投与などの調整を行うことで症状緩和が得られる可能性がある.
ISSN:1880-5302
DOI:10.2512/jspm.20.89