海草藻場における炭素循環

海草藻場は沿岸生態系の中で最も生産力の高い生態系の一つである.堆積物中への有機炭素貯留量は陸上を含めた他の生態系と比べても大きく,近年ではブルーカーボンという言葉と共に,重要な炭素貯留場であることが広く認識されるようになった.また,海草藻場が発達する沿岸浅海域は陸域由来炭素の分解の場であるためCO2の放出源であると認識されてきたが,河口域の海草藻場では年間を通じて正味のCO2吸収源になりえることが明らかとなってきた.本稿では,様々な起源に由来する有機炭素・無機炭素の海草藻場内における動態を解析した研究を紹介し,海草藻場の持つ炭素隔離・貯留機能の研究について解説する....

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Published in沿岸海洋研究 Vol. 55; no. 2; pp. 97 - 100
Main Authors 所, 立樹, 門谷, 茂, 茂木, 博匡, 桑江, 朝比呂, 渡辺, 謙太
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本海洋学会 沿岸海洋研究会 2018
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ISSN1342-2758
2434-4036
DOI10.32142/engankaiyo.55.2_97

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Summary:海草藻場は沿岸生態系の中で最も生産力の高い生態系の一つである.堆積物中への有機炭素貯留量は陸上を含めた他の生態系と比べても大きく,近年ではブルーカーボンという言葉と共に,重要な炭素貯留場であることが広く認識されるようになった.また,海草藻場が発達する沿岸浅海域は陸域由来炭素の分解の場であるためCO2の放出源であると認識されてきたが,河口域の海草藻場では年間を通じて正味のCO2吸収源になりえることが明らかとなってきた.本稿では,様々な起源に由来する有機炭素・無機炭素の海草藻場内における動態を解析した研究を紹介し,海草藻場の持つ炭素隔離・貯留機能の研究について解説する.
ISSN:1342-2758
2434-4036
DOI:10.32142/engankaiyo.55.2_97