非造影dual energy CT電子密度値を使用した孤立性肺結節の良悪性鑑別

【目的】Dual energy CT(DECT)の開発により,形態学的特徴だけでなく広範な定量的情報も提供することが可能となった.本研究の目的は,DECTから得られる電子密度値を用いた孤立性肺結節(solitary pulmonary nodule: SPN)の良悪性鑑別である.【方法】SPNと診断された画像データから,54症例のDECT画像を選択し,SPNの電子密度最大値を取得した.t検定により,良悪性間の電子密度値を比較した.病理組織型間,組織学的サブタイプ間での比較をするために一元配置分散分析を行った.また,ロジスティック回帰分析を適用し,電子密度値に対する偏回帰係数を推定した.【結果】...

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Published in日本放射線技術学会雑誌 Vol. 81; no. 10; p. 25-1557
Main Authors 川野 真嗣, 久家 教幸, 藤崎 凌平, 内山 良一, 松井 健紘, 佐藤 勇一郎, 尻枝 勝敏, 柳 重久, 前田 亮, 小味 昌憲, 東 美菜子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本放射線技術学会 2025
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ISSN0369-4305
1881-4883
DOI10.6009/jjrt.25-1557

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Summary:【目的】Dual energy CT(DECT)の開発により,形態学的特徴だけでなく広範な定量的情報も提供することが可能となった.本研究の目的は,DECTから得られる電子密度値を用いた孤立性肺結節(solitary pulmonary nodule: SPN)の良悪性鑑別である.【方法】SPNと診断された画像データから,54症例のDECT画像を選択し,SPNの電子密度最大値を取得した.t検定により,良悪性間の電子密度値を比較した.病理組織型間,組織学的サブタイプ間での比較をするために一元配置分散分析を行った.また,ロジスティック回帰分析を適用し,電子密度値に対する偏回帰係数を推定した.【結果】電子密度値は悪性3.56×1020/mm3,良性3.51×1020/mm3であり有意に悪性が高かった(p<0.001).ROC解析の結果,AUCは0.77であった.病理組織型間比較において,腺がんおよび扁平上皮がんで有意に高かった(p<0.05).サブタイプ間では有意な差はみられなかった.ロジスティック回帰分析では,回帰係数は1.24(p<0.01)であった.【結語】Dual energy CTによって得られる電子密度値は,SPNの良悪性鑑別に有用な定量指標となる可能性が示唆された.一方で,invasive mucinous adenocarcinomaなど一部の病理型では例外的に低値を示す可能性があり,注意が必要である.
ISSN:0369-4305
1881-4883
DOI:10.6009/jjrt.25-1557