黒毛和種育成雌牛における長距離・長時間輸送による体重および血液性状の変化
黒毛和種育成雌牛において,長距離・長時間輸送の影響を調査した.黒毛和種育成雌牛10頭を用い,家畜輸送専用車で宮崎県から北海道まで,2,078 km(陸路1,130 km,海路948 km)を62時間かけて長距離輸送し,輸送前後における体重および血液性状を測定した.輸送前の体重は283.5±29.6kg(平均値±標準偏差)で,輸送後は256.2±26.5 kgと有意に減少した(p<0.001).輸送前に対する輸送後の体重の平均減少率は9.6±1.3%(7.0 ~ 11.0%)であり,10頭すべての個体で体重の減少が認められた.血液性状においては,輸送後の赤血球数, ヘモグロビン濃度, ヘマ...
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| Published in | 産業動物臨床医学雑誌 Vol. 7; no. Supple; pp. 231 - 234 |
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| Main Author | |
| Format | Journal Article |
| Language | Japanese |
| Published |
日本家畜臨床学会 ・ 大動物臨床研究会
31.03.2017
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| Subjects | |
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| ISSN | 1884-684X 2187-2805 |
| DOI | 10.4190/jjlac.7.231 |
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| Summary: | 黒毛和種育成雌牛において,長距離・長時間輸送の影響を調査した.黒毛和種育成雌牛10頭を用い,家畜輸送専用車で宮崎県から北海道まで,2,078 km(陸路1,130 km,海路948 km)を62時間かけて長距離輸送し,輸送前後における体重および血液性状を測定した.輸送前の体重は283.5±29.6kg(平均値±標準偏差)で,輸送後は256.2±26.5 kgと有意に減少した(p<0.001).輸送前に対する輸送後の体重の平均減少率は9.6±1.3%(7.0 ~ 11.0%)であり,10頭すべての個体で体重の減少が認められた.血液性状においては,輸送後の赤血球数, ヘモグロビン濃度, ヘマトクリット値,平均赤血球ヘモグロビン濃度および遊離脂肪酸濃度の有意な上昇,ならびに総コレステロール濃度,血中尿素窒素濃度,グルコース濃度,アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ活性値,ビタミンA濃度,マグネシウム濃度およびHDLコレステロール濃度の有意な低下(p<0.05)を認めた.血液性状の変化より,輸送中に乾物摂取量の低下による摂取エネルギーの不足および飲水量の不足が生じていると考えられた.以上のことから,黒毛和種育成雌牛の長距離・長時間輸送による体重の減少の要因の一つに,乾物摂取量および飲水量の低下が関係していることが考えられた. |
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| ISSN: | 1884-684X 2187-2805 |
| DOI: | 10.4190/jjlac.7.231 |