糞便中からの糞線虫の新しい検出法

普通寒天平板培地を用いた糞線虫の新しい検出法を開発したので, その有用性を報告する。指頭大の糞便を寒天平板培地の中央に置き, 37℃で24時間培養する。糞線虫陽性例では, 寒天平板上に糞線虫が這った後に残された轍や, その後に増殖した細菌コロニーの特徴的な線状配列を認めることができる。幼虫の同定に関しては, 陽性所見のある平板に穴 (well) を作製し, 水を満たすと幼虫は水中に集まってくるので, それを吸い上げて鏡検し確かめた。検査結果の内訳は, 人間ドック受診者1,017人中, 陽性例が寒天平板法46人 (4.5%), 直接塗抹法0人 (0%), 濾紙培養法3人 (0.3%) であった。...

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Published inJapanese Journal of Tropical Medicine and Hygiene Vol. 16; no. 1; pp. 11 - 17
Main Authors 斉藤, 厚, 池城, 毅, 安里, 龍二, 金城, 福則, 長谷川, 英男, 岩永, 正明, 新垣, 民樹
Format Journal Article
LanguageEnglish
Japanese
Published 日本熱帯医学会 1988
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ISSN0304-2146
2186-1811
DOI10.2149/tmh1973.16.11

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Summary:普通寒天平板培地を用いた糞線虫の新しい検出法を開発したので, その有用性を報告する。指頭大の糞便を寒天平板培地の中央に置き, 37℃で24時間培養する。糞線虫陽性例では, 寒天平板上に糞線虫が這った後に残された轍や, その後に増殖した細菌コロニーの特徴的な線状配列を認めることができる。幼虫の同定に関しては, 陽性所見のある平板に穴 (well) を作製し, 水を満たすと幼虫は水中に集まってくるので, それを吸い上げて鏡検し確かめた。検査結果の内訳は, 人間ドック受診者1,017人中, 陽性例が寒天平板法46人 (4.5%), 直接塗抹法0人 (0%), 濾紙培養法3人 (0.3%) であった。そのうち, ランダムに抽出した246人についてMGL法を用いて検査したが, 陽性率は寒天平板法14人 (5.7%), MGL法2人 (0.8%) であった。以上の結果から, 寒天平板法が従来の方法に比し, 極めて高い検出率を示すことが知られた。本法は, 手技が容易でかつ安価であり, 特に健康保虫者のスクリーニングに有用であると思われる。
ISSN:0304-2146
2186-1811
DOI:10.2149/tmh1973.16.11