特製円柱アクリルファントムによる心臓カテーテル検査に携わる術者の水晶体線量に影響する因子の検討

【目的】本研究では,深さ3 mmの位置に小型線量計を設置できる円柱形アクリルファントムを用いて,心臓カテーテル検査を想定した条件下における術者の水晶体の吸収線量に影響する因子を検討した.【方法】胸部の上に円柱形アクリルファントムを重ねたものを術者ファントムとした.術者ファントムの水晶体の吸収線量は二つの照射モードを使って測定した,透視モードでは2方向から照射した場合の線量を積算した.Cineモードでは15方向から照射した場合の線量を積算した.測定は術者の眼の高さ(150 cm, 165 cm, 180 cm),円柱ファントムの向き(0°, 15°, 30°, 45°),立ち位置を変化させた時(...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in日本放射線技術学会雑誌 Vol. 81; no. 6; p. 25-1513
Main Authors 小路, 佐織, 松原, 孝祐, 小川, 善紀, 松山, 茂人, Thunyarat, Chusin
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本放射線技術学会 2025
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN0369-4305
1881-4883
DOI10.6009/jjrt.25-1513

Cover

More Information
Summary:【目的】本研究では,深さ3 mmの位置に小型線量計を設置できる円柱形アクリルファントムを用いて,心臓カテーテル検査を想定した条件下における術者の水晶体の吸収線量に影響する因子を検討した.【方法】胸部の上に円柱形アクリルファントムを重ねたものを術者ファントムとした.術者ファントムの水晶体の吸収線量は二つの照射モードを使って測定した,透視モードでは2方向から照射した場合の線量を積算した.Cineモードでは15方向から照射した場合の線量を積算した.測定は術者の眼の高さ(150 cm, 165 cm, 180 cm),円柱ファントムの向き(0°, 15°, 30°, 45°),立ち位置を変化させた時(橈骨動脈穿刺,大腿動脈穿刺,第2術者位置)で行った.【結果】術者の眼の高さが高くなるにつれて水晶体の吸収線量は減少した.また,左頸部と水晶体の吸収線量を比べると,左頸部の吸収線量は左水晶体に対し1.2倍から1.4倍高くなる傾向がみられた.円柱ファントムの向きがX線管から離れるにつれ水晶体の吸収線量は減少していく傾向にあった.立ち位置による違いでは,橈骨動脈アプローチにおける水晶体の吸収線量が最も高くなった.【結語】心臓カテーテル検査において,検査に携わる術者の身長,顔の向き,立ち位置により術者の水晶体の吸収線量は変化する.左頸部に線量計を設置した場合,その線量計で水晶体の吸収線量を安全側に評価することができる.
ISSN:0369-4305
1881-4883
DOI:10.6009/jjrt.25-1513