内視鏡下甲状腺手術(VANS法)における術中持続神経モニタリングの経験

甲状腺手術において,反回神経の損傷は重大な合併症のひとつである。これまでに反回神経の同定や健全性確認を目的とした術中神経モニタリングが普及してきており,最近では手術中に迷走神経を持続的に刺激する術中持続神経モニタリングの有用性も報告されている。当科においては外切開のみならず内視鏡下の甲状腺手術においてもこの持続モニタリングを使用し確実な反回神経の同定温存に努めている。当科ではこれまでに8例の症例を経験している。実際の手術手技に関して輪状軟骨の高さで頸動脈鞘を開放し,APS電極を迷走神経に留置させる。持続神経モニタリングにより圧迫や牽引などで起こりうる視覚ではわからない神経損傷も回避することがで...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in日本内分泌・甲状腺外科学会雑誌 Vol. 37; no. 2; pp. 136 - 142
Main Authors 野村, 智, 小林, 義明, 能田, 拓也, 岡野, 恵一郎, 辻, 裕之, 下出, 祐造
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本内分泌外科学会・日本甲状腺外科学会 2020
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN2186-9545
DOI10.11226/jaesjsts.37.2_136

Cover

More Information
Summary:甲状腺手術において,反回神経の損傷は重大な合併症のひとつである。これまでに反回神経の同定や健全性確認を目的とした術中神経モニタリングが普及してきており,最近では手術中に迷走神経を持続的に刺激する術中持続神経モニタリングの有用性も報告されている。当科においては外切開のみならず内視鏡下の甲状腺手術においてもこの持続モニタリングを使用し確実な反回神経の同定温存に努めている。当科ではこれまでに8例の症例を経験している。実際の手術手技に関して輪状軟骨の高さで頸動脈鞘を開放し,APS電極を迷走神経に留置させる。持続神経モニタリングにより圧迫や牽引などで起こりうる視覚ではわからない神経損傷も回避することができる。特に術中のランドマークがつきにくい内視鏡手術においてこの持続モニタリングを導入することは極めて有用であると考える。
ISSN:2186-9545
DOI:10.11226/jaesjsts.37.2_136