甲状腺手術におけるD1郭清術

甲状腺がんに対する根治手術に際しては甲状腺葉(峡部)切除や全摘術に頸部郭清術の併施を要する場合が多い。特に,中央区域では明らかなリンパ節転移がなくても予防的郭清が推奨されている。したがってD1郭清術は原発巣切除と密接に関連しており,甲状腺がん手術において基本となる重要な手術手技の一つといえる。その手技については各施設で多くの工夫がなされているが,反回神経をはじめとする甲状腺周囲の解剖構造を熟知し,過不足なく切除することが大切である。本稿では当院での甲状腺手術におけるD1郭清術のコンセプトおよび手順および使用しているデバイスを紹介する。また,反回神経麻痺は患者のQOLに直結するため,その温存には...

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Published in日本内分泌・甲状腺外科学会雑誌 Vol. 38; no. 4; pp. 247 - 253
Main Authors 門田, 伸也, 川元, 日向子, 森田, 慎也, 青井, 二郎, 武田, 俊太郎
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本内分泌外科学会・日本甲状腺外科学会 2021
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ISSN2186-9545
DOI10.11226/jaesjsts.38.4_247

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Summary:甲状腺がんに対する根治手術に際しては甲状腺葉(峡部)切除や全摘術に頸部郭清術の併施を要する場合が多い。特に,中央区域では明らかなリンパ節転移がなくても予防的郭清が推奨されている。したがってD1郭清術は原発巣切除と密接に関連しており,甲状腺がん手術において基本となる重要な手術手技の一つといえる。その手技については各施設で多くの工夫がなされているが,反回神経をはじめとする甲状腺周囲の解剖構造を熟知し,過不足なく切除することが大切である。本稿では当院での甲状腺手術におけるD1郭清術のコンセプトおよび手順および使用しているデバイスを紹介する。また,反回神経麻痺は患者のQOLに直結するため,その温存には細心の注意を払う必要がある。反回神経麻痺を予防するための術中神経モニタリング,注意すべき反回神経の走行異常として喉頭外分枝と非反回下喉頭神経についても詳述する。
ISSN:2186-9545
DOI:10.11226/jaesjsts.38.4_247