II.HTLV-1感染・複製機構と発がん
ヒトT細胞白血病ウイルス1型(human T-cell leukemia virus type 1:HTLV-1)は,ヒトで初めて同定された病原性レトロウイルスであり,生きた感染細胞を介してのみ感染するという特徴を有している.生体内では,主にCD4陽性Tリンパ球に感染しており,その感染細胞の形質を変化・増殖させ,次の個体へと感染を拡大している.HTLV-1のマイナス鎖にコードされるHTLV-1 bZIP factor(HBZ)はHTLV-1の病原性発現に極めて重要な役割を担っている.この感染細胞を持続的に増殖させるというウイルスの戦略が病原性と結び付いており,感染細胞の抑制が発症予防にも重要で...
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| Published in | 日本内科学会雑誌 Vol. 106; no. 7; pp. 1376 - 1382 |
|---|---|
| Main Authors | , |
| Format | Journal Article |
| Language | Japanese |
| Published |
一般社団法人 日本内科学会
10.07.2017
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| Subjects | |
| Online Access | Get full text |
| ISSN | 0021-5384 1883-2083 |
| DOI | 10.2169/naika.106.1376 |
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| Summary: | ヒトT細胞白血病ウイルス1型(human T-cell leukemia virus type 1:HTLV-1)は,ヒトで初めて同定された病原性レトロウイルスであり,生きた感染細胞を介してのみ感染するという特徴を有している.生体内では,主にCD4陽性Tリンパ球に感染しており,その感染細胞の形質を変化・増殖させ,次の個体へと感染を拡大している.HTLV-1のマイナス鎖にコードされるHTLV-1 bZIP factor(HBZ)はHTLV-1の病原性発現に極めて重要な役割を担っている.この感染細胞を持続的に増殖させるというウイルスの戦略が病原性と結び付いており,感染細胞の抑制が発症予防にも重要である. |
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| ISSN: | 0021-5384 1883-2083 |
| DOI: | 10.2169/naika.106.1376 |