急性腎障害(AKI)の最新診療

急性腎障害(acute kidney injury:AKI)は,急激な腎機能低下と組織の障害を呈する症候群であり,さまざまな臨床経過において合併すると予後を有意に悪化させる臓器障害である.早期にAKIを診断して適切なタイミングで治療的介入を行うことがAKIの予後改善には必要であるが,血清クレアチニン値及び尿量に基づくAKI診断と保存的治療がAKI診療の中心となっている現状がある.一方,診断においては,新規バイオマーカーが複数開発されて臨床応用に至っており,治療においても,数多くの基礎研究で得られた成果の一部が臨床の場で検証されつつある.AKIは可逆的な病態ではなく,長期的にはCKDの発症・進展...

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Published in日本内科学会雑誌 Vol. 108; no. 6; pp. 1212 - 1218
Main Author 土井, 研人
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本内科学会 10.06.2019
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ISSN0021-5384
1883-2083
DOI10.2169/naika.108.1212

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Summary:急性腎障害(acute kidney injury:AKI)は,急激な腎機能低下と組織の障害を呈する症候群であり,さまざまな臨床経過において合併すると予後を有意に悪化させる臓器障害である.早期にAKIを診断して適切なタイミングで治療的介入を行うことがAKIの予後改善には必要であるが,血清クレアチニン値及び尿量に基づくAKI診断と保存的治療がAKI診療の中心となっている現状がある.一方,診断においては,新規バイオマーカーが複数開発されて臨床応用に至っており,治療においても,数多くの基礎研究で得られた成果の一部が臨床の場で検証されつつある.AKIは可逆的な病態ではなく,長期的にはCKDの発症・進展のリスク因子であることも認識されるようになった.このように,AKI診療においては予後改善を得るために解決すべき課題があり,さらなる研究成果が期待されている.
ISSN:0021-5384
1883-2083
DOI:10.2169/naika.108.1212