循環不全を呈した難治性異所性接合部頻拍に対してR波同期心房ペーシング(R-wave synchronized atrial pacing)が有効であった小児心臓手術後の1例

小児心臓手術後の異所性接合部頻拍(junctional ectopic tachycardia, JET)は,しばしば治療に難渋する。症例は生後2か月の男児で, 無脾症と総肺静脈還流異常に対して総肺静脈還流異常修復術,共通房室弁形成術,肺動脈絞扼術を施行した。大動脈遮断解除後にJETが出現したため抗不整脈薬(アミオダロンとランジオロール)を開始し,PICU入室後は抗不整脈薬に加えて鎮静管理,電解質補正,体温管理,カテコラミン調整を行い,心房ペーシングによるオーバーペーシングも行った。しかし,JET rateの上昇に伴い,管理が困難となり循環動態が悪化した。これに対し,ペーシングモードをR波同期...

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Published in日本集中治療医学会雑誌 Vol. 29; no. 6; pp. 585 - 589
Main Authors 赤嶺, 陽子, 芳賀, 大樹, 山本, 泰史, 數田, 高生, 大塚, 康義, 菅, 敏晃, 宇城, 敦司, 坂口, 高章
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本集中治療医学会 01.11.2022
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ISSN1340-7988
1882-966X
DOI10.3918/jsicm.29_585

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Summary:小児心臓手術後の異所性接合部頻拍(junctional ectopic tachycardia, JET)は,しばしば治療に難渋する。症例は生後2か月の男児で, 無脾症と総肺静脈還流異常に対して総肺静脈還流異常修復術,共通房室弁形成術,肺動脈絞扼術を施行した。大動脈遮断解除後にJETが出現したため抗不整脈薬(アミオダロンとランジオロール)を開始し,PICU入室後は抗不整脈薬に加えて鎮静管理,電解質補正,体温管理,カテコラミン調整を行い,心房ペーシングによるオーバーペーシングも行った。しかし,JET rateの上昇に伴い,管理が困難となり循環動態が悪化した。これに対し,ペーシングモードをR波同期心房ペーシングに変更することで,心拍数の上昇を伴わずに房室同期を獲得することができ,循環動態のさらなる悪化を防ぐことができた。欧米では以前から報告されているペーシングモードであるが,本邦では一般的には行われておらず,難治性JETの管理におけるペーシングモードの選択肢の一つと考えられる。
ISSN:1340-7988
1882-966X
DOI:10.3918/jsicm.29_585