VI.Fabry病

Fabry病はX連鎖遺伝の先天性代謝異常症で,α-galactosidase Aの欠損によりグロボトリアシルセラミドが蓄積するスフィンゴ脂質症のひとつである.ヘミ接合体男性の古典型症例では,小児期に四肢などの疼痛,発汗障害,被角血管腫がみられ,成人期には腎機能障害・腎不全,心筋症などの心合併症,脳梗塞などの脳血管障害を発症する.2001年,臨床治験により酵素補充療法が可能であることが示され,Fabry病の根本的病態である先天性代謝異常を改善・正常化することにより様々な臓器障害の予防・抑制を目指すことができるようになった.酵素補充療法以外にも遺伝子変異にもよるが薬理学的シャペロン療法が可能である...

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Published in日本内科学会雑誌 Vol. 111; no. 8; pp. 1541 - 1547
Main Author 後藤, 順
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本内科学会 10.08.2022
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ISSN0021-5384
1883-2083
DOI10.2169/naika.111.1541

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Summary:Fabry病はX連鎖遺伝の先天性代謝異常症で,α-galactosidase Aの欠損によりグロボトリアシルセラミドが蓄積するスフィンゴ脂質症のひとつである.ヘミ接合体男性の古典型症例では,小児期に四肢などの疼痛,発汗障害,被角血管腫がみられ,成人期には腎機能障害・腎不全,心筋症などの心合併症,脳梗塞などの脳血管障害を発症する.2001年,臨床治験により酵素補充療法が可能であることが示され,Fabry病の根本的病態である先天性代謝異常を改善・正常化することにより様々な臓器障害の予防・抑制を目指すことができるようになった.酵素補充療法以外にも遺伝子変異にもよるが薬理学的シャペロン療法が可能である.さらに,遺伝子治療,mRNA投与治療,基質合成抑制療法の開発も進められている.
ISSN:0021-5384
1883-2083
DOI:10.2169/naika.111.1541