加齢に伴う身体的非活動性の耐糖能及びインスリン感受性に及ぼす影響
加齢及び加齢と身体的非活動性がインスリン感受性に及ぼす影響を検討する目的で以下の研究を行った. 対象は糖尿病でない非肥満の63~85歳の14名であり, 歩行を含めた日常生活を営む aged control (AC) 群7名と寝たきりの aged sedentary (AS) 群7名である. 又運動活動を行っていない男子学生10名を若年対照 (YC) 群とした. 全例, 75g OGTTと euglycemic insulin clamp (EIC) 法を施行し, 耐糖能とグルコース代謝量 (GM), グルコース代謝率 (MCR) を算出し比較検討した. その結果OGTTにおいてAC群は, YC...
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| Published in | 日本老年医学会雑誌 Vol. 27; no. 5; pp. 564 - 569 |
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| Main Authors | , , , , , , , , , , |
| Format | Journal Article |
| Language | Japanese |
| Published |
一般社団法人 日本老年医学会
01.09.1990
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| Subjects | |
| Online Access | Get full text |
| ISSN | 0300-9173 |
| DOI | 10.3143/geriatrics.27.564 |
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| Summary: | 加齢及び加齢と身体的非活動性がインスリン感受性に及ぼす影響を検討する目的で以下の研究を行った. 対象は糖尿病でない非肥満の63~85歳の14名であり, 歩行を含めた日常生活を営む aged control (AC) 群7名と寝たきりの aged sedentary (AS) 群7名である. 又運動活動を行っていない男子学生10名を若年対照 (YC) 群とした. 全例, 75g OGTTと euglycemic insulin clamp (EIC) 法を施行し, 耐糖能とグルコース代謝量 (GM), グルコース代謝率 (MCR) を算出し比較検討した. その結果OGTTにおいてAC群は, YC群と比較して血糖値及びIRIの反応に有意差は認めなかった. 又, AS群はOGTTの前, 60, 120分でYC群より有意に血糖値の上昇を認め(p<0.05), IRIの分泌能低下と反応遅延のパターンが認められた. 一方, EIC法より求められたインスリン感受性の指標となるMCRは, AS群, AC群, YC群それぞれ5.31±0.68, 8.57±1.20, 9.60±0.35ml/kg/minとAS群は他のAC群, YC群より有意に低値を示した(p<0.05, p<0.01). 以上の結果から加齢そのものによる耐糖能および末梢インスリン感受性の低下は, ほとんど問題にならないが, それに身体的非活動性が併存する場合は, インスリン分泌低下を伴う耐糖能異常と著明なインスリン感受性の低下がみとめられ, グルコース代謝に重大な影響を与えるものと考えられた. |
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| ISSN: | 0300-9173 |
| DOI: | 10.3143/geriatrics.27.564 |