一老人病院入院時におけるMRSA分離率の検討
入院時に咽頭ぬぐい液の細菌培養を施行し, メチシリン耐性黄色ブドウ球菌 (MRSA) の分離率を検討した. 1994年12月から1995年11月まで当院入院となった男69名, 女82名計151名を対象とした. 入院前の紹介先を調査し, (1) 病院より転院となった群 (N=96), (2) 老人ホームより入院となった群 (N=16), (3) 自宅より入院となった群 (N=39) の3群に分けた. さらに3群の患者の性別, 年齢, 白血球数, CRP, 栄養状態, 日常生活動作, 褥瘡の有無を比較した. MRSA分離率は病院群では12例 (12.5%), 老人ホーム群では2例 (12.5%),...
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Published in | 日本老年医学会雑誌 Vol. 34; no. 2; pp. 147 - 150 |
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Main Authors | , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本老年医学会
25.02.1997
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Subjects | |
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ISSN | 0300-9173 |
DOI | 10.3143/geriatrics.34.147 |
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Summary: | 入院時に咽頭ぬぐい液の細菌培養を施行し, メチシリン耐性黄色ブドウ球菌 (MRSA) の分離率を検討した. 1994年12月から1995年11月まで当院入院となった男69名, 女82名計151名を対象とした. 入院前の紹介先を調査し, (1) 病院より転院となった群 (N=96), (2) 老人ホームより入院となった群 (N=16), (3) 自宅より入院となった群 (N=39) の3群に分けた. さらに3群の患者の性別, 年齢, 白血球数, CRP, 栄養状態, 日常生活動作, 褥瘡の有無を比較した. MRSA分離率は病院群では12例 (12.5%), 老人ホーム群では2例 (12.5%), 自宅群では2例 (5.2%) であり, 病院群と自宅群間で有意差を認めた (p<0.05). 栄養状態, 日常生活動作は病院群及び老人ホーム群で低く, 自宅群との間に有意差を認めた (p<0.05). さらに病院群 (N=96) をMRSA陽性群 (n=12) とMRSA陰性群 (n=84) に分け, 年齢, 性別, 栄養状態, 日常生活動作を比較検討した. 低蛋白血症や, 低アルブミン血症を呈する症例はMRSA陽性群に多く認められた (p<0.05). また, 日常生活動作の低い者の割合はMRSA陽性群で有意に高く (p<0.05), 逆に完全に自立している者の割合は, MRSA陰性群で有意に高かった (p<0.05). 入院時のMRSA分離率は入院前の受療状況によって異なり, その一因は, 入院時の栄養状態, ADLの違いによると考えられた. |
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ISSN: | 0300-9173 |
DOI: | 10.3143/geriatrics.34.147 |